<柔道:世界選手権>◇26日◇男子60キロ級◇オランダ・ロッテルダム

 男子60キロ級の平岡拓晃(了徳寺学園職)は初の世界選手権で銀メダルでは納得がいかなかった。決勝でザンタラヤの小外刈りに屈し、「金メダルしか見ていなかった。2位も1回戦負けも一緒」と悔しがった。

 この1年間の苦闘を乗り越えてのメダルでもあった。北京五輪は4連覇の夢がかかった野村に代わって選出されたが、初戦敗退。今年5月に野村が現役続行を表明すると、篠原監督からは「お前らがしっかり成績を残さないから野村も勘違いするやないか」と、おきゅうを据えられた。

 厳しい言葉は心に染みた。「篠原先生は表裏がない人。合宿では代表全員を焼き肉に連れて行ってくれたり、和がよくなったと思う。(野村さんの)戻る場所がなくなるようにアピールしないと」と素直に受け止め、精進してきた。

 この日も篠原監督は厳しかった。「僕が見ている男子は金じゃないと話にならない。銀も1回戦負けも一緒。野村からしたら『オレもチャンス』と思うでしょう。ここで金メダルを取ればプレッシャーをかけられた」。平岡も心得ていた。「世界との差?

 銀では縮まらない」。世界との差は五輪3連覇の実績を誇る野村との差。今後の戦いで埋めていくしかない。