<柔道:世界選手権>◇29日◇女子70キロ級◇オランダ・ロッテルダム

 渡辺美奈(23=コマツ)は銅メダルにも、笑顔はなかった。3位決定戦は5分で決着せず、ゴールデンスコア方式の延長戦へ。渡辺は2分8秒、背負い投げで勝負を決めた。「うれしいって感じでもなくて、疲れていたのもあったから、終わったと。出るからには、絶対に金メダルを取りたかった」と振り返った。

 1、2回戦と準々決勝は1本勝ち。波に乗ったはずが、準決勝で07年大会銅メダルのメサロシュ(ハンガリー)に敗れた。長身の相手に上から抑え込まれ、動きを完全に封じられた。最後はすくい投げから、横四方固めで抑えられた。

 女子70キロ級は、上野雅恵が君臨していた。世界選手権と五輪を合わせて、4度も優勝するなど、ほかの選手が入り込む余地はなかったが、上野が3月に第一線を退き、4月の選抜体重別で渡辺が優勝。この階級の後継者となるべく、世界舞台へ進出した。

 「ここで自分が1歩前に出るには、金メダルを取っておくべきだった。国内でやり直して、来年の世界選手権で結果を残したい」。悔いばかりでなく、初の世界大会で収穫もある。「もう少しで、世界で勝てることも分かった。今日の悔しさを忘れないように練習したい」と前を向いた。