日本男子史上最年少の14歳6カ月で世界選手権代表となった、青森山田中3年の丹羽孝希が、12年ロンドン五輪のキーマンに指名された。4日、男子ダブルス準決勝で水谷隼(19=明大)、岸川聖也(21=スヴェンソン)組が、第2シードの馬龍、許■組(中国)に0-4で完敗。銅メダルこそ獲得したが、中国との実力差が顕著に表れる結果に、日本男子代表の宮崎義仁監督(50)は、丹羽を国際大会に数多く出場させ、英才教育を施す考えを明かした。

 まだ中学生の丹羽が大きな期待を背負うことになった。宮崎監督は「世界ランクの低い丹羽は、全中(全国中学校大会)を欠場してプロツアーで急激にランクを上げさせる。所属先の了承も得ている」と発言。今後は積極的に国際大会に派遣し、現在426位の世界ランク大幅上昇を狙わせることを決めた。

 この日、男子ダブルス準決勝で水谷、岸川組が中国ペアに1ゲームも奪えず完敗した。その中国ペアは決勝で別の中国ペアに完敗。宮崎監督は「中国との差は詰まっていない」と現状を分析し「ロンドンは水谷、岸川、(松平)健太、丹羽の4人の争い」と指摘。銅メダル獲得のアドバンテージはなく、最大3人のロンドン五輪代表選考は横一線だと説明した。

 同五輪で中国を打倒し、悲願の金メダルを獲得するには、4人のさらなるレベルアップが不可欠。なかでも丹羽の成長が鍵を握る。丹羽は今大会でシングルスは予選から5連勝し、松平健と組んだダブルスも、この日優勝した世界ランク1位王皓、同7位陳玘の中国ペアから1ゲーム奪い、慌てさせた。球の浮き上がりをたたく“ライジングショット”で中国のトップ選手をもほんろう。パワーをつけ、打球に速さが増せば、世界のトップの仲間入りする可能性は十分にある。

 常々「ロンドン五輪に出たい」と話す丹羽も、海外修行を歓迎した。「中学の大会に出るよりも、プロツアーとか大人の大会に出た方が自分の成長につながる。勝って自分のランクを上げたい」。丹羽が急成長すれば、現在のエース水谷らも大きな刺激を受けるはずだ。宮崎監督は「水谷が代表から落ちてしまうかもしれないぐらいの状況になっていれば」と、相乗効果にも期待。卓球ニッポンの未来は丹羽に託された。※■は日へんに折のつくり