五輪中継を朝まで見て、昼間は高校野球、夜はプロ野球と本当に意識を失いそうな日々も終わって、みなさま、少しホッとされているのではないでしょうか。

 しかし五輪は若い選手が多かったですね。体操の白井健三(日体大)など「10代で金メダルをとれて、より若い子どもたちも勇気づけられたと思う」なんて言ったりして、なんともすごいもんです。

 そうやって見るとプロ野球は「おっさん」が頑張ってますな。今季は「最年長」とつく記録達成が多く期待されています。

 例えば39歳の阪神福留が狙うのは「最年長首位打者」。これまでの最年長は「36歳」。我々世代ならだれもがマネした大洋ミヤーン(79年)、巨人クロマティ(89年)、楽天リック(08年)の3人が保持者。福留がとれば、一気に3歳も更新しますね。

 セ・リーグに限れば、39歳の広島新井が巨人王(38歳=78年)を抜く最年長打点王に挑戦しています。41歳の広島黒田は最年長最多勝が期待されましたが、これはちょっと厳しくなってきました。

 そんな中、最年長盗塁王に挑んでいるのが35歳のオリックス糸井です。25日現在で43個とダントツ。達成となれば阪急福本(82年=35歳)近鉄大石(93年=35歳)に並びますが、福本は11月、大石が10月の生まれ。シーズン中の7月31日に35歳になった糸井の方が少し年長という見方もできます。

 さて、その糸井をめぐって、めずらしいプレーを目撃しました。21日楽天戦(京セラドーム大阪)。7回2死で一塁走者の糸井が盗塁を狙いました。しかし投手の金刃がけん制球を一塁手へ投げ、すでにスタートしていた糸井はそのまま二塁へ。しかし一塁・銀次からの送球を二塁のベースカバーに入った遊撃・茂木が弾いてしまった。この間に糸井は三進したのです。

 茂木に失策がつくのは当然としても、糸井には「盗塁」どころか「盗塁死」が記録されたのです。念のため、繰り返しますが糸井はアウトになっていません。試合後、記録員に理由を聞くと「アウトのタイミングだったのでそうなります」と説明してもらいました。野球規則でもそうなっています。

 しかしオリックスとしては「同じような場面で盗塁がつくこともある」(福良監督)などと納得せず、22日に日本野球機構(NPB)に意見書を提出する事態に陥りました。

 もちろん記録員の判断には野球規則の根拠があり、NPBは翌23日にこれを却下する通達をオリックス側におくっています。

 オリックスにすれば、簡単に言えば、物わかりよく終わらせず、糸井の最年長タイトルについて球団を上げて支援する姿勢を示したということでしょう。

 狙う人、応援するチーム。記録を巡っては、さまざまな人間模様が展開されることも間違いありません。