17日、茨城県大会で江戸崎総合と対戦した常総学院。エースの鈴木昭汰君(投手・3年)はマウンドに上がりませんでしたが、14対2(5回コールド)で勝利し、3回戦突破を果たしました。初戦の土浦湖北戦では先発し、2対0で完封勝利。リベンジの夏へ-好スタートを切りました。

 今年のセンバツ。プロ注目左腕として活躍を期待されていた常総学院の鈴木君。しかし、開幕戦となった鹿児島実との試合で3回まで1安打に抑えるも4回から突如くずれ被安打9、4自責、4失点で8回にマウンドを降りライトのポジションへ。試合後、「甲子園のライトのポジションについたことはエースとして屈辱」と話していた言葉がとても印象的でした。

いつもは明るくてチームの中心。元気で明るいのが常総学院のチームカラーです!
いつもは明るくてチームの中心。元気で明るいのが常総学院のチームカラーです!

「秋、冬とやってきて、開幕してたった3時間でセンバツが終わって。自分でも予想しなかった結果で。あぁ~こんなもんか…って。しばらく踏ん切りがつきませんでした。つらいというか、味わったことのない挫折でした」(鈴木君)

 いつも明るく、チームの中心にいる鈴木君。「落ち込んでいる姿は見せたくない」と、グラウンドではいつものように明るく振る舞い、家に帰るとつらい気持ちがグッとこみ上げてくる。家に帰り、自分の部屋に入ると、知らず知らずのうちに涙がこぼれることも。

「負けて泣いているとこなんて、絶対にみられたくないですから…」(鈴木君)

 そんな時、中学時代の恩師に、こんな言葉をかけてもらいました。

「どんな選手でも大きな挫折を味わうものだ。これを糧に頑張て」

 この言葉を聞きプラス思考にとらえることができるようになりました。

「最後の夏に向けて、今まで自分は何のために野球をやってきたのかをあらためて考えたんです。この夏は、人のために本気で野球をやろう。そう決めました」(鈴木君)

 春の関東大会後は、監督の提案で、3年生、全員が1週間交代でキャプテンを担当することに。ちょうど私が夏の大会前に取材に行った時は鈴木君がキャプテンの週でした。取材中もグラウンド全体の動きにチラチラと目を配りながら、気になったところは後輩に指示をする。

「試合で守ってくれるのはチームのみんなですから。練習くらいは自分が周りを見ようと思うんです。そして、夏の大会では、自分に集中をさせてもらい、みんなに守ってもらおうと思います」(鈴木君)

 鈴木君を始め、3年生1人1人の心を交わした取り組みで、チームが1つになろうとしていました。

「試練が多いほど、その場はつらいですが後々本当にいいのかなーって思うんです。このままでは終われません。去年の夏の県大会での負け、センバツ開幕試合での負け。もう二度と経験したくないです」(鈴木君)

 いつも明るい鈴木君が明かしてくれた本音。リベンジの夏へ。鈴木君の最後の戦いが笑顔の夏になりますように-。

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甲子園の星2016年7月号
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