ノーシードから頂点を狙う常葉学園菊川が、磐田北を10-0の6回コールドで下した。俊足強打でプロ注目の栗原健外野手(3年)は1番中堅で先発し、高校通算46号本塁打を含む3打数2安打1盗塁で打線をけん引した。エース左腕の落合竜杜(3年)は6回を2安打無四球無失点。3年ぶりの夏の甲子園へ向け、上々のスタートを切った。

 2回裏無死、栗原が外角高めの直球を捉えた。打球は大きな放物線を描き、92メートル先のフェンスを越え右翼芝生席に弾んだ。

 「打った瞬間、入ったと思いました。今日は狭い掛川でしたが、1試合1本、この夏は7本は打ちたいですね」

 笑顔の本塁打量産宣言だが、実は久々の好感触だった。6月中旬、45号を放った後から不振に陥ったのだ。「本塁打を意識しすぎて、重心が後ろにかかり、フォームのバランスを崩していました」。開幕直前、森下知幸監督(55)からマンツーマン指導を受け、「つま先重心」を意識すると、逆方向にも強い打球が打てるようになり、本来の調子を取り戻した。

 大会前は3番や4番で起用されたが、この日は今春まで定位置の1番で起用された。「やりやすいし、楽しいです」。初回に内野安打、2回の守備では右中間の大飛球に追いついて好捕。6回には二塁盗塁を決め、50メートル5秒8の俊足もアピールした。「足も見せることができたのはよかったです」。栗原の好調に引っ張られるように、打線も初戦から全開だ。1回に5連打で3点。6回には5番の坂本章善外野手(3年)堀慶一郎内野手(3年)の連続本塁打などで5点を奪い勝負を決めた。

 エース落合も好投。森下監督は「落合は落ち着いていて、力を抜いて投げられたのは収穫です。打撃もいい感じでしたね」と好感触をつかんだ様子だった。混戦が予想される今大会で、その目は虎視眈々(たんたん)と頂点を狙っている。【鈴木正章】