昨年センバツ8強の滋賀学園が、今年は初戦で延長14回の末に東海大市原望洋(千葉)から白星を奪った。

 2-2の同点となった後、6回から13回までは互いにチャンスもつかみながら決勝点を挙げられなかった。滋賀学園が一気に4点を奪ったのは14回表。連続四球で無死一、二塁とし、中西亮太二塁手(3年)が一塁ゴロ。一塁ベースを踏んで打者走者アウトの後、併殺を狙った一塁手の二塁への送球が運命の分かれ道になった。ボールは二塁へ滑り込んだ一塁走者の棚原孝太投手(3年)の体に当たってそれた。棚原は「肩甲骨あたりでした」と言う。これで二塁走者だった田井改周右翼手(3年=主将)が生還して1点勝ち越し。ここから4長短打で3点を追加した。田井主将は「粘り強くプレーし、最後に連打が出て良かった」と初戦突破を喜んだ。

 14回を投げ切ったのは右腕の棚原だ。滋賀学園といえば、神村月光(ひかり)投手(3年)と後藤克基捕手(3年)が1年生のときから活躍し、2人が常に注目されてきた。それが今大会は棚原がまず大奮闘。昨秋から実績を挙げた棚原は192球を投げ12三振を奪って自責点は1。10イニング以上の投球は初めての経験で、大きな自信をつかんだ。山口達也監督(45)は「棚原が大舞台でこういう投球をしてくれてうれしい」と笑顔。チームに新たな力で勢いがついた。【宇佐見英治】