春季高校野球福島県大会(12日開幕、あいづ球場ほか)の組み合わせ抽選会が8日、東北6県の先陣を切って会津若松市内で行われた。ドラフト候補右腕・尾形崇斗(3年)を擁する学法石川は14日の1回戦で会津と対戦する。昨秋の東北大会初戦敗退後、食事と筋力トレーニングをメジャー流に見直し、肉体改造。今春の県南地区大会では最速147キロをマークするまで成長した。春優勝を飾り、99年以来18年ぶりの夏に弾みをつける。

 尾形の右腕から放たれる直球が、うなりをあげた。4月29日の修明戦では最速147キロを計測。昨秋の139キロから8キロアップに「春で成長したけど、ここがMAXじゃない。あと5キロ、10キロ上げていくつもり」と息巻く。プロ入りを熱望する剛腕にとって、春は単なる通過点にすぎない。

 「メジャー流トレ」で肉体改造に成功した。アトランタブレーブスなどでトレーニングコーチを務めていた小山啓太氏(39)が、石名坂規之コーチの立正大時代のトレーナーだったこともあり、助言をもらった。食事面では3食に加え、タンパク質など成分のバランスを考えながら、ミネラルやビタミンのプロテインを摂取し1日6食に増やした。昨秋の73キロから88キロに15キロも増量した尾形は「逆に体のキレがよくなった」と手応えを口にする。

 オフの週3日2時間の筋トレも変えた。24種類のメニューの中でも独特なのが、体の後ろでシャフトを持って地面につける動きだ。下腹部前面にある股関節の腸腰筋を鍛える狙いがある。通常メニューで鍛える体の後ろ側の筋肉だけではなく、体の両面を意識することで尾形は「体のバランスがよくなった」と力説。上田勇仁監督(31)も「単純に筋肉量だけが増えたし、さらに体全体の筋肉が使えるようになって運動神経も上がった」と分析する。

 鍛え抜いた冬を終えると、成長の春が待っていた。4月の横浜との練習試合では完封。地区大会は「ほぼ直球だけ」で3試合12回無失点。尾形は言う。「聖光を倒して甲子園に行くのと、プロ入りはセットの目標」。お互い順当に勝ち進めば、20日の準々決勝で激突する。そこで、尾形の真価が問われる。【高橋洋平】

 ◆尾形崇斗(おがた・しゅうと)1999年(平11)5月15日、宮城・富谷町(現富谷市)生まれ。富ケ丘小4年から野球を始め、富谷二中では仙台広瀬ボーイズに所属し東北選抜。学法石川では1年秋からベンチ入りし、2年秋からエース。181センチ、88キロ。右投げ左打ち。