<高校野球広島大会:広島工3-0福山明王台>◇17日◇1回戦◇コカ・コーラウエスト野球場

 20年ぶりとなる夏の甲子園を目指す広島工は、福山明王台に勝って初戦を突破した。プロ注目のスラッガー広島工宇佐美塁大(るいた)内野手(3年)が8回、高校通算43本目となるソロ本塁打。潜在能力の高さを見せつけた。

 塁大(るいた)と名付けられた高校球児は、名前に恥じない弾丸ライナーの1発を放った。プロへ向けての強烈なアピール弾だ。

 2点リードした8回の先頭打者だった。低めの直球を捉えた。低い弾道で左翼席の芝生席に達した。喜びをかみしめながら本塁に生還。福山明王台相手に苦戦した打線に活を入れる1発は、高校通算43本目となる本塁打となった。

 宇佐美

 思い切り振りました。打った感触、いったと思いました。夏場に入ってから開き直っていけるようになりました。

 梅雨明けした広島の青空のように、迷っていたものがスッキリと晴れた。目標とする広島堂林のように、さわやかな笑顔を見せる。夏の初戦は二塁打を含む2安打1打点の活躍だった。

 春先にはプロのスカウトが何球団か訪れるようになった。そこから力みが生じた。沖元茂雄監督(46)は「注目されるようになって、調子を落としてしまった」という。自分の打撃を見つめ直し、大会直前の練習試合では4試合で3本塁打と復活の兆しを見せた。

 ライバルは近くにいる。広島商竹田徹司内野手(3年)だ。昨秋の県大会準々決勝での直接対決では0-7で7回コールド負け。しかも竹田に特大弾を見せつけられた。ライバルは1回戦で1イニング2発という離れ業を成し遂げている。「多少、意識はあります。ホームランはテレビで見ました」。負けじと本塁打を量産するつもりだ。

 この日、視察に訪れたスカウトは楽天のみだった。まだまだ注目を浴びたい気持ちはある。

 宇佐美

 一生野球ができる可能性を信じてやっていきたい。

 竹田のいる広島商と直接対決をするには、決勝まで勝ち上がる必要がある。如水館、崇徳、広島国泰寺と強豪のそろったブロックを勝ち抜き、ライバルにリベンジすることを楽しみにしている。【中牟田康】

 ◆宇佐美塁大(うさみ・るいた)1994年(平6)10月24日生まれ。広島市出身。小2で野球を始める。ヤングリーグの府中広島2000を経て広島工へ。2年秋からレギュラー。今春に遊撃手から三塁手にコンバートされた。177センチ、82キロ。右投げ右打ち。