第91回全国高校野球選手権が8日、甲子園球場で開幕した。初出場の常葉学園橘(静岡)の最速147キロを誇る庄司隼人投手(3年)は開会式で、センバツ準Vの花巻東の150キロ超左腕菊池雄星投手(3年)と談笑し、最高の刺激材料を得た。橘ナインは式後に、大阪・高槻市の萩谷総合公園野球場へ移動。庄司は約30球を投げ込み、初陣での勝利へ最終調整を終えた。

 指先から伝わる微妙な感触に、庄司は最後までこだわった。投球練習で「最後!」と言って投げた直球。受けた牛場友哉捕手(2年)は「来てます」と言い返した。だが、エースは「ダメ」と言ってもう1度、力いっぱい直球を投じた。「牛場は形式的なんです」と笑って、後輩にダメ出し。納得できる球かどうかは、相棒の褒め言葉にも惑わされなかった。最後にミットにいい音を響かせて、最終調整を終えた。

 初陣前の緊張は少しもなかった。観衆が4万人を超えた開会式の入場行進では「360度から拍手が聞こえてびっくりした。もう1度4万人以上になるには、決勝までいかないとダメかな?

 決勝で投げたいと思った」と、興奮を抑えきれずに言ってのけた。そんな主戦を黒沢学監督(32)は「隼人のボールはだいぶ良い。投手がどっしりしてくれれば、攻撃はどうにでもなるので」と頼りにしている。

 プロ注目投手との会話も励みになった。行進後、前日は話しかけられなかった花巻東・菊池と談笑し、一緒に写真を撮った。その中で「155キロ投げられる自信ある?」と質問。菊池から「最近スピードが乗らないから、出るか分からない」と弱気の返答を受けると「心の中では『オレが先に出す』と思いました。でも、やっぱりオーラが違う。刺激になりました」。写真は、撮影を持ちかけた菊池のデジカメの中。「対戦して、画像をもらいます」と宣言した。

 そんな上を見る姿には一見、油断があるかのようにも思える。だが、初戦に向かう気持ちに慢心や過信は決してない。「ここまで来たら無失点で抑えられるとは考えず、勝ちに行く投球をする。最初は打たせる投球で、攻撃にリズムをつくりたい」。静岡に庄司あり!!

 全国を驚かす準備は、できた。【今村健人】