金太郎になる。ロッテ鈴木大地内野手(26)が24日、静岡・小山町にある母校の足柄小学校を訪れ、全校児童と交流した。卒業以来の訪問に「ここに帰ってくると、いつも懐かしくて幸せな気持ちになります」と穏やかに笑った。新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込むと、視線の先にはクマにまたがる金太郎像がいた。

 校庭の先には富士山が見え、足柄山も近い。金太郎ゆかりの土地で育った。小学生時代は、金太郎の絵コンクールで金賞を取ったこともある。「金太郎は普通すぎた。外の人に出身を言うと、『あぁ、金太郎の』と言われて」初めて、故郷のシンボルの偉大さを知った。そんな鈴木にとって、金太郎はお手本にもなっている。5年目へ、現在、肉体改造中だ。大好きな甘いものを控え、ヨガ教室に通い始めた。体幹のトレーニングにも力を入れている。「器具を使ったウエートだけじゃない。体の中から強くしたい」。クマを投げ飛ばすぐらいの力を手に入れる。

 まさかりならぬ、バットを担ぎ、野球の稽古だ。「クマも従えて、人望あるのかな。僕が頑張れば、金太郎のところで育ったと言われる。町が活気づくと思う。金太郎魂です!」と意気込んだ。キャプテンとして、鈴木もチーム内の人望は厚い。気は優しく力持ち。“鈴木金太郎”が、日本一を目指しチームを引っ張っていく。【古川真弥】

 ◆「金太郎」伝説 諸説ある。有名なのは平安時代、足柄山でクマと相撲を取り、後に武将・源頼光の家来となって坂田金時(きんとき)と名乗った人物。後に鬼退治などで勇名をはせた。金太郎あめ、金時豆にも名を残す。静岡・小山町には金時神社があり、坂田金時が祭神としてまつられている。「まさかりかついで」で始まる童謡は1900年(明33)に発表された。なお、足柄山とは神奈川と静岡の県境にある足柄峠を中心とした山地の総称。この中に金太郎の伝説がある金時山が含まれている。