9年越しの投げ合いに決着をつけた。西武岸孝之投手(31)が今季初登板となるソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で7回を5安打無失点に抑え、白星発進した。史上初の同一カード3戦連続延長引き分けとなった08年8月31日以来となるソフトバンク和田との顔合わせで、強力打線を封じ込んだ。昨季王者との初戦を取り、エースがスタートダッシュに加速をつけた。
ピンチで一気にギアチェンジした。4回1死一、二塁。岸は今宮、斐紹を最速146キロの直球を軸に押し込み、連続空振り三振。「どっちも思い切り投げました」と6回の1死一、二塁でも、中村晃に真っ向勝負。再び146キロをマークし、最後はチェンジアップを沈めて遊飛に封じた。代打吉村も144キロで抑えホームを踏ませず。「点差が開いても油断出来ない打線。何としても1点もやりたくなかった」とうなずいた。
和田の投球も力に変えた。前回の顔合わせは08年8月31日。自身は9回を無失点、和田は10回無失点で試合は延長引き分けに終わった。心待ちにしていた再戦に「いつもゼロに抑えるつもりで投げてますが、今日は特に、その気持ちが強かった」。その決意通り、窮地で粘り、勝負どころでフルスロットル。メジャー帰り左腕より先にマウンドを降りることなく、スコアボードに「0」を並べた。
この登板を託されたのは、キャンプ中の2月16日だった。菊池に開幕投手が告げられた日と同日。大役を目指してきたが、感情が波立つことはなかった。「自分に任されたところはそこか、と。普通に受け入れられました」。王座奪還に向け、たたかなければいけない相手との初戦。起用理由も聞き「期待に応える投球をしたいと思った」。初の大舞台に臨む菊池には心構えをアドバイス。後輩を支えながら、万全の調整を進めてきた。
今でも「(エースとは)呼ばないで下さい」と言う。たとえ周囲が認めても、「そう呼ばれる投手は最多勝とか取っている。自分はそんな域じゃない」。謙遜ではない。まだまだ高みを目指し続けるからこその言葉。それでも、数字だけでなく、勝たなければいけない試合で勝利に導くのもエースだ。和田に投げ勝ち、昨季王者との初戦を制した岸。この日のマウンドには、エースの風格が、確かに漂っていた。【佐竹実】
◆08年の3連続引き分けVTR 8月29~31日、ヤフードームで3連戦。29日は3-3の延長11回表、西武が細川の本塁打で勝ち越したが、ソフトバンクは代打吉川のプロ初本塁打で同点に追いついた。延長12回、4-4。30日は8回に西武が代打平尾の適時内野安打で同点に追いついた。延長12回、2-2。31日は、西武岸が9回171球、ソフトバンク和田が10回143球を投げて無失点の好投。延長12回、0-0の引き分けに終わった。同一カード3連戦がすべて延長引き分けは、プロ野球初だった。



