全ての借りをエースが倍にして返した。巨人菅野智之投手(26)がレギュラーシーズン本拠地初完封で阪神を封じた。3回まで毎回走者を出す投球も、それ以降は持ち前のストライクゾーンで勝負して6安打無四球で8奪三振。チーム今季初完封で登板がかさんでいた中継ぎ陣に休養を与えた。前日5日に今季初の伝統の一戦で、好き勝手やられた阪神を完璧に黙らせた。

 菅野が過去の思いを込め、拳を強く握った。9回2死、鳥谷へ投じた111球目は138キロのスライダー。バットは空を切り、小林誠のミットに収まり、無四球完封勝利で終えた。「最高の気分です。良い試合でした」と笑みがはじけた。

 前夜、テレビの前で阪神への悔しさが増幅した。3盗塁と機動力でかく乱され完敗した。自身も一昨年のCSファイナルステージは故障で回避。昨年もCS第1ステージに登板し、KOされ、原前監督から怒鳴られた。「殴られるかと思うくらい、すごい勢いだった。怒られたこともそうですが、本当に悔しくてたまらなかった」。野球の借りは野球で返す。初戦で4安打された高山は1安打に封印。2安打された藤浪に対抗するように、バットで2安打返しした。

 昨季、個人的に打たれまくった相手をねじ伏せた。3回1死一、二塁で昨年15打数9安打とかもにされた福留を迎えた。今季解禁したワンシームを多投し、最後は137キロスライダーで中飛に抑えた。

 2月26日もテレビの前で悔恨の光景を目に焼き付けた。開幕投手を通達される2日前。昨年の開幕戦と9月27日のヤクルト戦のDVDを見返し、その後もテレビの録画リストをチェックした。スクロールする中で、手を止めたのが阪神戦。福留との対戦を抜粋した。「今、見ても悔しい。でも、今年は今年。やり返せるようにしないと」。雪辱を誓い、テレビを切った。そして外角中心の攻めで、天敵を4打数無安打と完璧に沈めた。

 今までの思いも背負って、この一戦に挑んだ。高橋監督は「前半はピンチもあったけど、素晴らしいピッチングだった。最初から投げきってくれればと思っていた」と評した。シーズン本拠地初完封。チーム、そして自分自身にとって、最高の形でリベンジした。【細江純平】

 ▼中5日の菅野が無四死球完封勝ち。完封勝ちは昨年5月19日阪神戦、同7月5日中日戦に次いで3度目だが、無四死球完封は初めて。過去2度は甲子園球場とナゴヤドームで、東京ドームの完封、中5日での完封も初めてになる。今季、菅野の与四死球は3月25日ヤクルト戦の死球1個(2回の畠山)しかなく、打者90人と対戦して与四球は0。3ボールまでいった打者は13人いるものの、まだ四球を出していない。死球を含めた連続イニング無四死球は、開幕のヤクルト戦の3回から自身最長の22イニングに伸びた。