日本ハムの長距離砲、中田翔内野手(27)とブランドン・レアード内野手(28)がマルチ・アベック弾で「リアル二刀流」を演じた大谷を強力に後押しした。まずは4番が貫禄を見せた。初回2死二塁。左翼から右翼方向へ吹く、強風を切り裂いて左翼席へ先制7号2ラン。「逆風で、どうかなと思ったけど(スタンドへ)行って良かった」。いきなり大谷を援護した。

 自然に打ち勝ち、2回は自然を味方に付けた。右翼へ今季初の2打席連続となる8号3ラン。「完璧な風。(普通なら打球は右翼の)定位置くらいじゃない」と、強風のアシストに感謝。主砲の自己最多タイ1試合5打点に負けじと、レアードも快音を連発だ。2回先頭で16号ソロ。5回には西武メヒアを抜き本塁打キングに躍り出る17号2ランを放り込んだ。

 2試合連続で1試合2本塁打の大爆発は、米国在住の父へ贈るプレゼントにもなった。「現地時間で今日(28日)が父の60歳の誕生日なんだ」。前日28日の試合後は国際電話で祝福し、2本塁打も報告。「ありがとうと言っていたよ」と、5月12発の孝行息子は笑みが弾けた。

 中田とレアードは普段から競争心をあおり合う。レアードが明かす。「冗談だけど、本塁打数を『追いつくからな』『追い越してみろよ』と言い合っているんだ。いい競争心があるよ」。この日は2本ずつで9本差のままだが、交流戦を前に相乗効果が結果として表れてきた。中田は「レアードが調子がいい。ホームランはポンポン打ってくれるだろうから、今は打点重視でやるよ」と、自然体で打席に臨めている。刺激し合う日米のアーチストが、セ界相手にも脅威となる。【木下大輔】

 ▼日本ハム中田とレアードがそろって2本塁打を放った。2人以上が複数本塁打をマークしたのは、09年9月29日オリックス戦(札幌ドーム)の糸井、スレッジ(各2本)以来。1試合2発は、中田が今季初で、2試合連続複数アーチのレアードは今季4度目。レアードの月間12本塁打(29日現在)は、球団では72年5月大杉勝男(15本)、80年9月ソレイタ(13本)に次ぐ量産だ。チーム4本塁打は今季最多タイで、28日に続き3度目。