複雑なメモリアルだ。阪神ランディ・メッセンジャー投手(34)が通算1000奪三振を記録した。8回に亀井をフォークで空振りに仕留めてこの日7個目の三振をマーク。ベンチ前で祝福の花束を受け取った。ただ、8回を6安打2失点と完投しながら、援護なく4敗目。「ほろ苦いというかね…。唯一、自分でも気に入らないのが坂本選手へのフォークが浮いてしまったこと」と、素直には喜べなかった。

 3回のワンシーンを悔やんだ。1死から脇谷に右中間を破られ、続く重信には中前適時打を浴びて先制点を献上。重信が走塁死した直後、坂本に5球目のフォークを左翼席に運ばれた。これで今季坂本に3本目のアーチを献上。「3本のうち2本が変化球。それが悔しい」と顔をしかめた。

 ただ、通算1000奪三振という勲章が色あせることはない。記念すべき来日初三振は10年4月の伝統の一戦。巨人高橋から奪った。「とても信じられない。まさかそんなに長く(日本球界に)いるとは思ってもみなかった」。初奪三振の相手が監督となり、宿敵のベンチに座っていた。それだけ長い間、第一線で戦い続けている証しだ。

 6戦連続で勝ち星のない藤浪に続き、メッセンジャーも5日の中日戦を最後に4戦勝ちなしで3連敗。8回の打席でも代打を送られず続投したが、今季チーム初の完投負けを喫した。「いつも長いイニングを投げたいと言って、長いイニングを投げられたけど、結果的に負けが付いてしまった。でもそれが野球だからね」。セ・パ交流戦前に11試合に登板した先発投手は両リーグを見渡してもメッセンジャーだけ。トンネルを抜け出すまで、交流戦でもフル回転する。【桝井聡】

 ▼阪神メッセンジャーが5月5日中日戦で今季4勝目を挙げた後、勝ち星から遠ざかっている。前回22日広島戦では今季ワーストタイの7失点で4回途中に降板。勝てないここ4試合では、いずれも本塁打(1、1、2、1)を浴びている。9勝12敗に終わった昨季も勝ち星のない最長は4試合で3度あった。

 ▼通算1000奪三振=メッセンジャー(阪神) 29日の巨人10回戦(東京ドーム)の8回、亀井から空振り三振を奪って達成。プロ野球145人目で、外国人投手では郭源治(中日)1415三振、郭泰源(西武)1069三振に次いで3人目。初奪三振は10年4月8日の巨人3回戦(甲子園)で高橋から。