すでに復活の予感はする。攻守に精彩を欠くプレーが目立つ阪神鳥谷敬内野手(34)が4回、4号ソロで唯一の得点をたたき出した。6回にも右中間二塁打を放ち、11試合ぶりのマルチ安打を長打で決めた。打撃用手袋を左手だけ外し、素手でバットを握るなど、復調に手を尽くす。パ・リーグ相手に、手のひら返しの活躍をみんな待っている。
鳥谷は左の手のひらで左翼方向へ押し込んだ。2点を追う4回無死。完全投球を続けていた高木の外角カットボールをミートした。左手で押し込んだ分、飛球が伸びる。左翼席に4号ソロを届かせ、一方的な巨人ペースを許さなかった。
「なんとか1本出たのは良かったと思います」
試合前の時点で打率は2割3分5厘。キャプテンらしからぬ数字から抜け出そうと、もともと球界屈指の「努力の鬼」として知られる男が選んだ手段は「努力の上乗せ」だ。25日ヤクルト戦前から、5日連続で通常のフリー打撃より前に特打を敢行している。
26日の神宮特打中には金本監督から直々に指導を受け、ミートポイントを前にするため、グリップの位置を右肩より投手側に置く技術を授けられた。東京ドーム3連戦中は全体アップから離れ、ブルペンで浜中打撃コーチの投球を打ち込んで状態良化を図っていた。
8番から1番に打順を上げて3戦目。小さな変化もつけた。フリー打撃、ゲームともに左手は素手でスイング。長年両手に装着してきた手袋を右手だけにはめた。「感覚というか、いろいろ考えはあります」。詳細は明かさずも、手段を選ばず復調を試みているのは間違いない。
6回2死からは高木の内寄り低め140キロ直球を力強くはじき返し、ライナーで右中間二塁打を運んだ。4戦ぶりの1発に加え、11試合ぶりとなるマルチ安打もクリア。力のある真っすぐにも打ち負けなかった内容は完全復調の日が近いことも予感させる。
それでも金本監督は「まだまだ、だね。結果は出たけど最後の(空振り)三振は自分のタイミングじゃない。トップを作るのが遅い。打てない時はタイミングがとれていない」。4回には悪送球で失策も記録している。チームの顔だからこそ、求められるハードルは高い。
指揮官は明日31日楽天戦から突入する交流戦に向けて、チームリーダーの復調を「1つのカギでしょうね」と表現した。もちろん、鳥谷も自覚している。「相手はパ・リーグになる。新たな、という気持ちはあります」。V字回復のタイミングとしては申し分ない。【佐井陽介】



