虎の優勝が完全消滅した。中日戦で今季10度目の完封負けを食らい、今季ワーストに並ぶ5連敗。打てずに苦しむ今季を象徴するような敗戦で、金本阪神の1年目のV逸が決定した。CS出場圏争いと目標は変わるが、3位DeNAとの3・5ゲーム差を縮められず、こちらも暗雲が漂っている。
最後の打者原口が力ない遊ゴロに倒れると、金本監督は厳しい表情でベンチを出た。首位広島と21差。11年連続で優勝を逃した瞬間で、近年では早い8月V逸。就任1年目で勝負の厳しさを味わった指揮官は、「特にないよ」と、無念を押し殺すように言った。
今季を象徴する敗戦だった。頼みの4番福留とブレーク中の北條が2安打ずつで奮闘したが、他の打者は吉見を捉え切れず凡打の山。拙攻を繰り返すうちにメッセンジャーも耐え切れず、7回吉見に均衡を破られる痛打を浴びた。1点が重い0-1で10度目の完封負け。金本監督は「見ての通り。(メッセの奮闘も)感じてはいるんだろうけど、点を取ってあげないと」とこれまでと同じフレーズを繰り返すしかなかった。
「超変革」をスローガンに若手を積極起用し、6月上旬までは5割をキープした。だが交流戦でパ・リーグのパワー野球に圧倒されてから借金生活に急降下。指揮官が前半戦総括で「(低迷理由の)一番は主力が打てなかったこと」と振り返ったように、鳥谷、ゴメスの大不振や、助っ人ヘイグの実力不足、西岡の故障離脱が痛かった。
新人王が有力な高山の大活躍をはじめ、北條、原口らの若い枝が芽吹いたことは大きな収穫だ。
だが、肝心な主力の幹がしっかりしていないと土台に安定感はない。中軸すら固定できない日替わりオーダーで、あと1本が出ない連続。リーグ最多の78失策、たびたびのバント失敗なども重なり、広島に離されていった。
投手陣も不安定だった。先発はメッセンジャーが2桁勝利で孤軍奮闘しているが、期待の藤浪が6勝10敗と不振のまま。特に前半戦は呉昇桓に代わる守護神マテオらが不安定で固定できず、逆転負けも目立った。「後ろが決まらなかった」ことは、V奪回への大きな課題として残った。
常に「一番上だけしか見ていない」と目指してきた第1目標は破れた。だがこれで終わったわけではない。CS進出への切り替えについて強い口調で言った。「当たり前であって、目の前の試合をどんどん勝っていくしかない。それしかない。何がある? 自分たちの野球。何回も言ってるでしょ」。何としても3位以内は確保する。このままでは終われない。【松井清員】
▼阪神は今季の優勝の可能性が消滅した。現在1位の広島が残り20試合に全敗とすると、最終成績は75勝66敗2分けで勝率5割3分2厘。阪神は今後19試合に全勝しても、73勝67敗3分けで5割2分1厘にとどまり、広島に及ばない。阪神のV逸は06年から11年連続となった。阪神は今季124試合目。優勝から遠ざかる06年以降では、12年118試合目、09年123試合目に次ぐ3番目のスピード消滅となった。



