「9度目の正直」で中日ドラフト1位小笠原慎之介投手(18)がプロ初勝利を挙げた。14連勝中だった巨人マイルズ・マイコラス投手(28)と投げ合い、2回までに3失点しながら以降は無失点で7回まで踏ん張った。自己最多10奪三振の力投に味方打線がこたえ8回に大逆転。9度目の先発で高卒ルーキー一番乗りの勝利を手にし、最下位ながら今季初6連勝のチームにも明るい材料となった。

 マウンドでは見せない18歳らしい表情に戻った。中日小笠原は満面の笑みで、守護神田島から大事そうに両手でウイニングボールを受け取った。9回は三塁側ベンチで1アウトを取るたびにガッツポーズ。最前列で立って声を出し続けた。

 「うれしいです。本当に野手の皆さんには助けてもらった。(9回は)早く終わってくれないかなと。田島さんが投げている姿を目に焼き付けておこうと思った」。開幕6連敗なら高卒新人のワーストタイ記録だったが、打線が8回に4点を奪って大逆転。9度目の先発で念願のプロ初勝利を挙げ、チーム今季初の6連勝の立役者に加わった。

 この日朝、8時に目覚めるとこれまで感じたことのない緊張に襲われた。「負けたらどうしよう…」。チームは5連勝中。昨夏の甲子園を制した左腕も、プレッシャーが18歳の肩にのしかかった。1回に坂本に先制2ラン、2回にも1点を失った。ただ3回の先頭に出塁を許してから、奪三振ショーに切り替わった。

 3番坂本を外角直球、阿部を外角スライダー、村田をクロスファイアで3者連続見逃し三振。プロ最多10奪三振。3回から7回までゼロを並べ、球数も最多の127球を投げ抜いた。自身の連敗は5でストップ。森監督代行は「あそこまで代えなくて良かった。7回はいかせてくれと言ってきた。借金(負け越し)は来年返せばいい」と目を細めた。

 12球団の高卒新人最速で1勝目。何度先発しても白星が遠い状況に「ずっと意識していました。追い抜かされると思っていた。(ロッテ)成田とかに」と笑った。しかしすぐに表情を引き締めた。「やっとスタートラインに立てた。次は2勝目を目指したい」。チームは最下位に低迷し、谷繁監督の事実上の解任もあった。ドラフト1位、未来のエース候補の1勝は、チームにとっても大きい。来季へ明るい光が差した。【宮崎えり子】

 ◆小笠原慎之介(おがさわら・しんのすけ)1997年(平9)10月8日、神奈川県藤沢市生まれ。東海大相模のエースとして昨夏の甲子園優勝。ドラフトでは高橋純平の外れ1位で中日入り。180センチ、83キロ。左投げ左打ち。家族は両親と弟、妹。今季推定年俸1500万円。

 ▼小笠原が10三振を奪いプロ初勝利。巨人相手に2桁奪三振でプロ初勝利を記録した新人は、デビュー戦で13三振を奪いノーヒットノーランの87年8月9日近藤(中日)に次ぎ2人目。巨人戦で2桁奪三振を記録した高卒新人は近藤以来7人目だが小笠原はこの日が巨人戦初登板。高卒新人が巨人戦初登板で2桁奪三振は61年大崎、87年近藤に次ぎ3人目。「高卒」を外しても新人が巨人戦初登板2桁は93年伊藤(ヤクルト)以来6人目。