優勝知らずの92年生まれ、生粋の広島県民の広島薮田和樹投手(24)が王手に導いた。最大のピンチは3点リードの6回2死一、二塁。打席には8月28日の同カードで満塁弾を浴びていた堂上だった。「前回カットボールを打たれていた。直球を投げきった中で勝負したかった」。2球で追い込むと、最後は150キロの直球で空振り三振。小さくほえて、グラブの中で手をたたいた。

 負けず嫌いで地元愛が強い広島県人気質。幼少期は旧市民球場から自転車で10分のところに住み、カープは生活の一部だった。25年前はまだ生まれていないが、91年の優勝記念グッズは実家にある。「元祖カープ女子」と笑う母昌美さんは、この日真っ赤なスタンドで声をからした。

 熱しやすく冷めやすい、広島県人気質。2軍では佐々岡2軍投手コーチに「考え方が甘い」と説教された。目を真っ赤にして涙をため込むと、すぐに目が覚めた。自慢の剛球に加え変化球でカウントを整える術を覚えた。緒方監督も「もがき苦しんで、やってきたものが出てきている」と目を見張った。

 仲間意識が強い広島県人気質。お立ち台では鈴木の決めぜりふ「最高で~す!」を拝借し今日8日先発の「(野村)祐輔さんにいい流れで渡せたと思います」と言った。「マジック2のボードは見えていた。貢献したいと思った」。25年ぶりの優勝へ、ぐっと近づける6回4安打無失点だった。絶叫のマツダスタジアムが気持ちいい。【池本泰尚】