それが大事だよ。阪神は1、2、3番トリオのそろい踏みで、5月26日ヤクルト戦以来の1試合3発のアーチ攻勢を決めた。1番北條と2番上本が広島ジョンソンにソロを浴びせ、仕上げは3番高山。2番手ジャクソンから8回、試合を決める2ランを放った。広島鈴木のグラブをかすめる「神ってる越え」8号は、プロ初の2試合連発。通算133安打で、新人記録もまたランクアップだ、GO!!
勝負を決める弾道が真っ赤に染まる右翼席へと向かう。フェンス際の打球だ。右翼鈴木がジャンプし、左腕を思い切り伸ばす。白球はグラブをかすめながら、客席へと吸い込まれた。高山は悠然とダイヤモンド1周。8号2ランで広島を突き放し、流れをグッと引き寄せた。2試合連続本塁打はプロ入り初めてだった。
まさに、今季の総決算の一撃だ。2点リードの8回無死一塁。ジャクソンの初球、外角速球を完璧に仕留める。高山も「引っ張ろうと思っていました。良かったです。(鈴木に)捕られなくて入ってくれて。ジャクソンをいままで打てていなかった。ずっと速球を空振りしていた」と言う。これまで5打数無安打と苦戦していた難敵にバットを短く持って対応。順応力の高さも、この男の売りだ。
最近、うれしいことがあった。9月15日DeNA戦で石田から右翼席にアーチを懸けた。心の中で喜びに満ちたのは、プロ入り初めて左腕から本塁打を放っただけではない。「妹が初めて、甲子園に見に来た試合でホームランを打てたんです。甲子園で打った3本のホームランのうち、2本は家族がいる前。何かあるのかな…」。無我夢中で走ってきた1年は間もなく終わる。大歓声に包まれ、高山家だけの時間が流れた。
家族に支えられながら、それにとどまらない地力を備えつつある。4回だ。この日が初対戦のジョンソンとの2打席目。追い込まれながら外角直球を痛烈なライナーで左翼線へ。鮮やかな二塁打は、今季15勝の剛腕サウスポーにも力負けしない強さを示したものだ。
新人年間安打で並んでいた同僚の福留(99年中日)を抜いて今季133安打。球団最多の98年坪井にもあと2本と迫った。64打点も阪神1位の50年徳網まで5打点。「しっかり軸で回る。たまたま結果につながっている。1本1本の積み重ねです」。剛速球をとらえ、左腕を苦にしない。弱点は消え、もはや新人ではない。【酒井俊作】
▼阪神は先発1番北條、2番上本、3番高山が本塁打。チーム1試合3本塁打は、5月26日ヤクルト戦(神宮)でのゴメス、福留、原口の計3本塁打以来今季3度目。スタメン1~3番の本塁打そろい踏みは85年4月22日中日戦(ナゴヤ)での1番真弓明信、2番弘田澄男、3番バース以来、31年ぶり。
▼高山がプロ初の2試合連続本塁打で8号に到達。2リーグ分立後の阪神の左打ち新人では、57年並木輝男と並び最多となった。なお2リーグ制での球団新人最多は、69年田淵幸一の22本塁打。



