世代交代で球界の看板を背負う役目を受け継ぐ。日本ハム大谷翔平投手(22)が今日25日、「SMBC日本シリーズ2016」第3戦(札幌ドーム)で今季限りで現役引退する広島黒田との初対決に臨む。敵地で連敗スタートを喫し、本拠地で仕切り直しの一戦となる。野手として「3番DH」でスタメン予定。憧れのレジェンド右腕を打ち崩し、悲願の日本一へ再出発する。

 大谷がチームとともに広島空港から新千歳空港行きの便へ乗る直前だった。黒田もチャーター機へ搭乗するため広島空港へ到着した。顔を合わせることはなかったが、時間差で北の大地へ移動した。第3戦は「3番DH」でスタメン出場が濃厚で、念願だった黒田との初対決が実現する。

 大谷 個人的な対戦もそうですけど、まずは勝つことが大事。全員で黒田さんを打ち崩せるように、しっかりと準備したい。

 チームは敵地で連敗スタートとなった。真っ赤に染まったマツダスタジアムで、投打に精彩を欠いて押し切られた。本拠地で日本一を決める可能性も消えたが、巻き返すチャンスは残されている。「打つ、打たないは関係なく、最低限の仕事が出来れば、こっちに勝ちが来る」。黒田撃ちで、劣勢をはね返すきっかけにするつもりだ。

 球界の節目となる試合を、最高のパフォーマンスで飾る。「勝負自体は楽しみ。結果を残せれば一番いい」と、力を込める。栗山監督は最高の形で世代交代の瞬間が訪れることを期待する。大相撲の歴史的一番を引き合いに出した。「千代の富士が貴乃花(当時貴花田)に負けてバトンタッチの感じがあった」と、25年前を振り返った。「二刀流」のバットでレジェンドを打ち崩せば、球界の新たな時代が幕を開けると確信している。

 新千歳空港に到着した大谷は、待ち受けたファンから大歓声で出迎えられた。初の日本シリーズのマウンドでは本領を発揮できなかったが、慣れ親しんだ環境で悔しさを晴らす。「1人1人役割は違うけど、決めるバッターが決めて(塁へ)出るバッターが出る。みんなが仕事をこなせれば、必ず勝てる」。レギュラーシーズンも最大11・5ゲーム差を逆転して頂点に立った。歴史的なマッチアップを制し、日本一へ向けた1勝目をチームにもたらす。【木下大輔】

 ◆千代の富士-貴花田VTR 91年夏場所初日、35歳の横綱千代の富士は、18歳の西前頭筆頭貴花田(後の貴乃花)と対戦。千代の富士は左から張り差しを狙ったが、逆に貴花田の左からの強烈なおっつけで攻めを封じられた。右に回り込みながら、たまらず引くところを力任せに寄り切られた。終始押される内容で後ろ向きに土俵から飛び出す完敗。千代の富士は2日後の3日目貴闘力戦に敗れた後、「気力、体力の限界」として引退を表明した。