オリックス西浦颯大外野手(19)は驚いた。年末年始を過ごした故郷熊本から先日、大阪・舞洲の寮に戻ってくると、自分のロッカーにバットが置かれていた。「HIROYUKI NAKAJIMA」の刻印を見るまでもなく、巨人に移籍した中島の相棒と分かった。

「中島さんからは何も言われていません。僕も連絡先を知らないので…」。期待の表れであるのは間違いない。「そう受け取りたいですね」と口元を引き締めた。新人だった昨年1年間しか接していないが、打撃論を心に刻んだ。テークバックの大きなフォームは「タイミングを取りやすいから」と教えてくれた。

オリックスは中島のほか金子、西が抜け、小谷野も引退。西浦ら若手にチャンスが広がった。明徳義塾で4度甲子園に出た好素材は1年目から1軍で2試合を経験。「あのままでは無理だと思いました。全然1軍の直球についていけなかった」。ウエートトレーニングも食事も増やし、体脂肪率は4・4%から10%に。体重も3キロ増えた。

「開幕1軍が一番の目標です」。偉大なバットマンが置き土産に込めたメッセージを胸に、飛躍を狙う。【柏原誠】