<阪神4-2横浜>◇28日◇京セラドーム大阪
ポイントゲッターの血が騒いだ。まさに魂の叫びだった。勝ち越し打の行方を見届けると、今岡は我を忘れてほえた。「ッシャー!
ヨッシャー!」。クールを装う普段の姿はない。一塁ベースを回って、もう1度、絶叫する。両手を強く握りしめながら…。08年の初打点に勝負師の神髄が表れた。
主砲金本の一撃で同点に追いついた直後の4回1死三塁。寺原の初球をミートすると、中前へと抜けていく。貴重な適時打で、勝負の流れをたぐり寄せた。
今岡「走者をかえすことだけ考えていた。オープン戦の最後のヒットが出た日から打撃が変わる兆候があった。今年は頑張るという気持ち。それだけですね」。
オープン戦中盤以降は24打席連続無安打と、結果が出ずに苦しんだ。23日のアスレチックス戦(東京ドーム)で25打席ぶりの安打を放ったが、5番の定位置は本番直前まで確定しなかった。そんな周囲の不安を一掃する快音だった。05年には147打点を挙げ、打点王に輝いた。2年間は不振に陥ったが、この日から仕切り直しだ。
天性のバットコントロールは健在だ。この日の適時打も、難しい球を仕留めてみせた。「あの外への低めのスライダーをセンター前に運べたのが良かった。普通なら引っ掛けて三塁ゴロになってしまうケース」。バットを握れば、どんな練習にも意図を込める。ティー打撃でバットコントロールを磨くのもその1つだ。
今岡「例えば、少年野球だったら、ティーを打つときに、中心に小さな円をイメージして、その円に向かって打つ練習をすればいい。(いまのプロのレベルになれば)そのときの状態に応じて同じ練習でも、いろいろ方法を変えています」。
天才と称されるが、地道に「打撃道」を追求した結果が、いまに生きている。26日には故島野育夫前総合特命コーチの仏前で手を合わせた。27日は有馬温泉でリラックス。心の高ぶりを抑え、平常心で臨んだ08年の開幕だった。
「打点をこうやって直接付けると、勝利につながっていく。いい1日になりました」。まだ1打点。これから無数の打点を稼ぐ長旅が始まる。新井、金本と強打者が並ぶ主軸のラストは今岡しかいない。【酒井俊作】



