<中日10-3広島>◇7日◇ナゴヤドーム

 中日のベテラン山本昌が、昨年5月13日以来、1年ぶりの勝利で通算194勝目、目標の200勝へあと「6」とした。この日再登録され、4月2日以来、今季2度目の先発だった山本昌は6回を2安打無失点の好投だ。「ほっとしているというか…。とにかく飛ばした。いけるところまでいこうと思った」。42歳9カ月のベテランが心底、笑った。それほどうれしい今季初勝利だった。

 圧巻の立ち上がりだった。初回、先頭赤松を内角低めの速球で見逃し三振。思わず打者が腰を引くほどのキレと伸びがあった。続く東出、天谷も含め3者連続三振のスタートを切ると、6回まで2安打無失点。腕が振れるから直球が伸びる。直球が伸びるから変化球が生きる。2勝10敗で終わった昨季とは見違える投球で、史上7人目となる42歳以上での勝利を飾った。

 あと7勝と迫った通算200勝へ引退覚悟で臨んだ今季は最初からつまずいた。4月2日巨人戦(東京ドーム)では2回1死の場面で突然背中に張りを訴えて降板。登録抹消されて2軍で調整となった。限界説もささやかれた。「そう言われるのは仕方ない。ただその中で使ってもらえることに感謝したい」。そんな気持ちで臨んだ仕切り直しの“開幕戦”で、限界説など吹き飛ばした。

 「マサ?

 本人に聞いてやれよ。十分聞いてやってくれ。1年ぶりにしゃべるんだろうから」。試合後、落合監督はコメントを避けたが、復活を見届けたその表情はうれしそうだった。

 通算194勝目。これで大野豊(広島)小山正明(大洋)に並ぶ歴代3位タイとなる21年連続勝利となった。【鈴木忠平】