<日本ハム2-1阪神>◇5月31日◇札幌ドーム

 阪神の新井貴浩内野手(31)が5月31日、日本ハム1回戦(札幌ドーム)の7回、日本ハムのスウィーニーから左中間席に今季6号、通算200号本塁打を放った。プロ野球90人目。初本塁打は99年6月6日の中日戦(浜松)で野口から記録している。新井の一発で阪神が先制したが、その裏にバルディリスのタイムリーエラーで逆転され、メモリアルデーを白星で飾ることはできなかった。

 記念のアーチはほろ苦い味がした。最終回に、新井のバットが空を切った。空振り三振でゲームセット。ヒーローから一転、最後の打者になった。少しうつむいて、ベンチに戻った。「節目だから、勝ちたかったというのはない」。自分の記録を祝う白星はいらない。ただただチームの勝利がほしかった。得点圏で巡ってきた最後の打席で、1本打てなかったことが悔しかった。

 99年6月6日中日戦の初アーチから3282日。通算200本目は、気持ちのこもった放物線だった。打線は先発スウィーニーの攻略に苦戦し、6回までたった2安打。「試合の結果につながる価値あるホームランが打ちたい」。200号のイメージについて、話していた。何よりも勝利にこだわる男が言葉通りに突破口を開いた。7回表1死。内角寄りの139キロ直球をとらえ、左中間スタンドに運んだ。4連敗中の日本ハムに意地を見せる先制本塁打。結果的に空砲になったが、大きな意味があった。有言実行の1本だった。

 球場を離れるとき、新井はつぶやいた。「待っていてくれたファンには感謝しています」。広島時代に194本を積み重ね、阪神ではまだ6本目。それでもタテジマで200号を刻んだ事実に違いはない。大ブーイングを浴びた4月の敵地広島戦を後で振り返り、こう話した。「あれで逆に吹っ切れた。阪神の一員として、がんばっていくという気持ちが固まった」。時間的に猛虎ファンとのかかわりは浅い。それでもスタンドでは手作りボードを掲げ、自分の記念アーチを楽しみに待っている。期待に応えることができて、安堵(あんど)の気持ちはあった。

 「また明日です」。4回の左前打を含め、2安打。チームの安打数の半分は新井のバットから生まれた。日本ハム投手陣に恐怖心を植え付けたことは次戦につながる。苦しい試合展開でも立ち向かっていく姿は、兄と慕う金本と重なる。そして本塁打の数も区切りを迎え、また1本ずつ積み重ねていくことになる。300本目も、400本目も阪神の中心打者として-。そんな未来図を描く力強い放物線だった。【田口真一郎】