<ソフトバンク5-4巨人>◇1日◇福岡ヤフードーム
柳瀬でも、新垣でも、松田でもない-。土壇場で試合を振り出しに戻したのは、プロ6年目の苦労人、森本学(30)だった。1点を追う延長12回。1死満塁で代打起用された。「弱気にならないで行こうと思っていた」。フルカウントからの6球目。真ん中に入ってきたスライダーを逃さず、左前へはじき返す同点適時打を放った。
「(ベンチ)裏で、的場に捕手心理を聞いたことが、あの1本につながった。自分はチェンジアップを狙おうと思っていたからね」。出番に備え、ベンチ裏のミラールームで同い年の的場とバットスイング。ただ、投球に合わせてバットを振るだけではなく、しっかりと作戦を立て、打席に入っていた。「的場が捕手だったら、スライダーの方が投げやすいと言っていたので。だからチェンジアップからスライダーに狙い球を切り替えた」。作戦を見事的中させ、川崎のサヨナラ打へとつなげてみせた。
今季も出番こそ少ないが、しっかり「脇役」として開幕から1軍の座を守り続ける。過去、3度の手術歴を持つ左ひざは、今でも試合後のアイシングが欠かせない状態で「打撃はいいけど、守備の1歩目と、止まる動作でブレーキをかける時はまだ痛みが出る」と慢性的な痛みを抱える。今年に入って数種類もの鎮痛剤を試しはしたが、痛みが消えることはなく、引退まで付き合うことを決心した。
今季2度目となったお立ち台で叫んだ。「ここに立ったら、まずファンのみなさんに言いたいことがあります。僕は柳瀬でも、新垣でもありません。森本学です。松田でも、もういないけど(引退した)稲嶺とも違います。よく間違えられるので、よろしくお願いします」。顔が似ていることで、間違えられてきた「森本学」の存在は、多くのファンに知れ渡ったに違いない。【石田泰隆】




