<楽天11-4阪神>◇3日◇Kスタ宮城

 野村楽天が、セ・リーグ首位独走の阪神に14安打11得点で圧勝した。“予告先発”だった田中将大投手(19)は7回途中まで4失点と粘り、5勝負けなしだった阪神下柳剛投手(40)との「年の差」対決を制して6勝目。日本ハム、ソフトバンクと同率ながら、チームは交流戦の首位を5月25日から堅守。昨年より12試合早く30勝に到達し、貯金も再び球団最多タイとなる4とした。「野村の教え」が浸透してきた今年はひと味も、ふた味も違うぞ。

 7回を除く毎回得点。セ・リーグのトップ阪神を圧倒した。約4割の虎党を含む、2万を超える観衆で埋まったKスタ宮城での快勝に、野村監督は「阪神さまさまじゃな。いっぱいお客さんを呼んでくれて。毎日阪神とやりたいな。いつも、満員の中でな」と、快感に浸った。

 ヒーローは先発のマー君ではなかった。目下、左腕の時しか先発がない、今季推定年俸610万円の中島だった。1回2死一、三塁から2点適時二塁打。3回には、本拠では初めて、プロ2号となるソロをマーク。5月28日に巨人内海からプロ初アーチを放ったばかりだが、今季無傷の下柳に土を付けた。野村監督は「中島の3打点が大きいな。顔を覚えたよ。もう、(仙台の繁華街)国分町で会っても大丈夫。彼は左キラー。右と左では打撃がころっと変わる。左には自信があるみたい。それも個性。結構なこと」と、起用ズバリにニンマリだ。中島も「左腕での出番ばかりなので、最近は、左の方が好きになりました」と笑顔だった。

 プロセスを重視するノムラ野球の浸透が、交流戦での快進撃につながっている。5月25日に首位に浮上して10日間、1度も落ちずに首位キープ。橋上ヘッドコーチは「今日はいろんな準備で完勝です」とニッコリだ。

 まずは、打撃面。今季2ケタ失点がなく、防御率リーグトップの阪神から、14安打の11得点。3イニング連続だった球団記録を大幅に更新する、1回から6イニング連続で得点した。橋上ヘッドコーチは「交流戦では、相手投手との対戦経験がなく、イメージがないので、逆にスコアラーのデータを、迷いなく頼ることができる。野村監督になって3年目で、スコアラーのデータの使い方も、ヤクルト時代と遜色(そんしょく)ないものになってきた」と話す。対戦投手の傾向を分析し、カウント別に、狙い球をピンポイントではじき出し、打者も迷いなく振り抜ける。思い切りの良さが持ち味の、中島の長所が存分に発揮された。

 そして足。1番渡辺直が、1回に三盗、2回に二盗と下柳の立ち上がりを襲った。この日の先発を下柳と読んだ段階で、モーションについてもナインに指導を徹底している。打つ、走る。ともに準備が結実した。野村監督も「ベテランは細かいのが苦手だから。特に三盗は効いたね」とニンマリ。阪神監督時代に赤星を育てたのと同様、1番が投手をかき回している。阪神戦でセ6球団と対戦し、野村監督は「12球団の中で絶対的な強さはない。相対的な強さだな。交流戦首位を10日?

 珍しいな。雨は正直だな」と手応えを照れ笑いで隠した。季節は“珍事”と言われる春を通過して、梅雨に突入。ノムラ野球も本格的になってきた。【金子航】