<楽天11-4阪神>◇3日◇Kスタ宮城

 トラを知り尽くす将は、やはり手強かった。好調阪神が「野村野球」に飲み込まれ、4-11と今季初の2ケタ失点で大敗した。安定感抜群だった下柳が、伏兵の中島に本塁打を浴びるなど今季最短6失点でKO。リリーフ陣も山崎武、フェルナンデスの主軸を抑えながら、伏兵軍団に打ち込まれて失点を重ねた。岡田監督も「すごいわ、楽天」と脱帽。一方、楽天の野村監督は「阪神さまさまだな。いっぱいお客さん呼んでくれてよ。毎日、阪神とやりたいな」とご機嫌だった。

 岡田監督は、かすかに笑みさえ浮かべた。4-11。今季初の2ケタ失点で大敗した試合後の会見は、重い空気が包み込むはずだった。しかし、岡田監督がそんな空気を振り払った。大敗の試合後に珍しくじょうぜつに、野村楽天の強さをべたぼめした。

 岡田監督

 リズムというか、(下柳の)ボールを振らんし、すごいね、楽天。(阿部の投球動作時のタイムは)見たら分かるやん。おもしろい。明日、何とかせなあかん。すごいね。強いのが分かった。それだけよ。これだけ点取られるんやから。(研究されているか?)まあ、そうやろな。

 試合のポイントを振り返るたびに「すごいね」を織り交ぜた。まさになだれのような勢いに飲み込まれた形だった。初回に先制し、マウンドには楽天戦でそれまで4試合登板で3勝負けなしの下柳が立つ。ここでいきなりカウンターパンチを食らった。

 際どいコースを突く投球が持ち味の下柳に対し、ことごとくボールを見極められた。1死二塁からリック、山崎武には8球連続でボール球となり、歩かせた。おまけに渡辺直にはまさかの三盗を許してしまう。続く2回にも渡辺直に二盗を成功され、矢野と下柳のバッテリーは完全にリズムを失った。矢野は3三振と打席でも引きずった。「もともと足を使ってくるチーム。それは分かっている」と矢野。一方、野村監督は「ベテランは細かいのが苦手だから。三盗は効いたね」とにんまりだ。ベテランコンビが“わな”にはまり、負の連鎖は6イニング連続失点となって勝負は決した。

 野村阪神時代に、岡田監督は2軍で指揮を執っていた。「確執」がうわさされたこともある。その後も敵将は「岡田の野球には色がない」と言い放つなど、因縁深い間柄だ。今では試合前に談笑するほどになったが、意識しないはずがない。両軍ベンチは、人を出し、策を出して攻め合った。それは試合後の「ほめ殺し」合戦にも表れた。

 野村監督は「阪神さまさまだな。いっぱいお客さん呼んでくれてよ。毎日、阪神とやりたいな。満員の中でよ。これで2連敗は避けられたな」と感謝した。そして下柳キラーに抜てきした中島の活躍に「顔を覚えたよ。もう(仙台の繁華街)国分町で会っても大丈夫。彼は左キラー。それも個性。結構なこと」と胸を張った。中島、代打で途中出場の草野、そして8番鉄平の3人で8安打6打点。伏兵軍団が働いた快勝はまさに「してやったり」の心境だったはずだ。

 野村野球を見せつけられた次は、猛虎の将が意地を見せる番だ。「明日、楽しみにしとこ」。最後に岡田監督は強気に言い放った。