<中日4-3広島>◇29日◇ナゴヤドーム

 踏ん張った!

 中日が眼下の敵広島を総力戦で倒して、単独3位をキープ。再び貯金を「1」とした。3ー3の同点で迎えた8回2死一、二塁でトマス・デラロサ内野手(30)が殊勲のタイムリーで突き放し、最後は守護神・岩瀬が抑えて逃げ切った。これで4位広島との差を2ゲームにして、今回の直接対決3連戦でのクライマックスシリーズ出場圏内(3位以内)降格ピンチは逃れた。

 これが昨季王者の執念なのか。3-3の同点で迎えた8回2死一、二塁。打席には3回に負傷退場した井端の代役デラロサ。広島ブラウワーが4球続けてきた外角のスライダーを中前へはじき返した。二塁から荒木がホームイン。借金生活転落を阻止し、広島を突き放す決勝打だった。

 「あそこはスライダーしかないと思っていた。ブラウンとはアメリカで一緒にやっていたことがある。僕がストレートに強いのを知っているから投手にもそれを伝えていると思った」。

 試合後、伏兵デラロサはいたずらっぽく笑った。広島のブラウン監督は03年にパイレーツ傘下の3Aでともに戦った。当時、監督だったブラウンはデラロサの特徴をよく知っていたためそれを逆に利用したのだ。

 クライマックスシリーズ出場圏内を目指す4位広島との直接対決は苦しい展開だった。2回に2点を先制したものの、3回に井端が右ひざを負傷して退場するアクシデントが発生。代わりに遊撃に入ったのがデラロサだった。2-2の同点に追いつかれた後、7回に李の適時打で勝ち越したが、8回にまたも追いつかれた。その接戦にデラロサのバットが決着をつけた。

 「必死じゃないのかな。タイロンがいて、ビョン(李)がいて、チェンがいる。投手がほしければ(野手の)だれか1人は(2軍に)落ちるんだから安心して野球はできない。まあ、よく練習する選手だから」。

 落合監督は外国人枠争いに必死のデラロサに満足そうだった。井端の故障は痛いが、嘆いてはいられない。これで広島とは2ゲーム差。「ちょっと野球らしくなってきたな」。1点を取り、1点を防ぐ。投打にらしさが出てきたチームに手ごたえもある。クライマックス圏内死守へ。オレ竜がまず直接対決の第1ラウンドを制した。【鈴木忠平】