兼任コーチ2年目でバージョンアップだ。中日立浪和義内野手(39)が5日、昨年不参加だった秋季練習に初参加した。午前は選手としてトレーニングし、午後からはコーチとして若手の指導に集中した。代打一本の今季は打率2割5厘と不本意な成績に終わり、チームも若手の伸び悩みが目立ちV逸。自身の成績アップとチーム力底上げを両立するため、オフを返上するだけでなく、午前と午後の顔を使い分ける新しいやり方に取り組む。

 立浪が1週間の休養を経てグラウンドに戻ってきた。これまでは、シーズン終了後は約3週間を体の疲れを癒やす期間に充てていた。コーチ兼任が決まった昨秋も、チームがアジアシリーズに進出したこともあり秋季練習には参加しなかった。だが今年は違った。

 「1クール休みをもらったから、来年に向けて徐々に自分の練習を始めていきたい。今年は成績も悪かったし、レギュラーで出ていたころよりも体の疲れはない。今年は結果が出なかったから、期待に応えられる準備をしていきたい」

 今季は左の代打の切り札として86試合に出場したが、73打数15安打、10打点、1本塁打の成績で、打率はプロ21年間の中で一番低い2割5厘。得点圏打率も1割1分4厘に低迷するなど、決して納得いく1年ではなかった。それだけに選手として来季にかける思いは強い。

 この日の立浪にはこれまでにない変化もあった。午前中は室内練習場で打撃練習を行うなど自らの練習に集中し、午後からはコーチ業に専念。福田、堂上剛、田中、西川らに打撃フォームをアドバイスした。今秋季キャンプでは状況に応じて兼任業をこなしていたスタイルをあらため、昼食をはさみ2つの顔を明確に使い分けた。

 今後も秋季練習中は、午前中は選手としてランニングやウエート、打撃練習に励み、午後からは打撃コーチとして若手の底上げを図るつもりだ。「初めて見る選手も多いし、ちょっとでもいいアドバイスができれば。教えることは難しいけど、楽しみな選手もたくさんいる。気付いたことは全員に言っていくし、自分で感じをつかんでもらいたい」。来季22年目のベテランが、早くも秋季練習からフル回転だ。【福岡吉央】