横浜のエース三浦大輔投手(34)が17日、他球団へ移籍可能なFA(フリーエージェント)権を行使することを表明した。この日、横浜市内の球団を訪れ、FA申請書類を提出した。阪神が獲得に乗り出す方針を示しているが、三浦は会見で「(移籍か残留か)気持ちは五分五分です」と明言を避けた。19日にFA宣言選手として公示され、20日に解禁される他球団との交渉をへて最終結論を下す意向だ。

 三浦は会見場でカメラマンの無数のフラッシュを浴び驚いた顔をしたが、いつもの落ち着いた口調は変わらなかった。「年齢的にも他球団の話を聞けるチャンスは最後と思っていた。FA宣言しないで後悔するよりは、手を挙げて、いろんな話があれば聞いてみたい。それでしっかり考えてみたい」と権利行使を表明した。

 「ハマの番長」が他球団移籍を視野に入れた。阪神をはじめ、先発投手を求める球団が獲得へ名乗りを上げるのは確実だ。しかし最終的な結論は、これから他球団との交渉を終えてからを強調した。「報道では宣言イコール移籍となっている。移籍もあるし残留という道もあります。気持ちは五分五分です」と明言を避けた。

 熟考の末の宣言だった。横浜とはシーズン終盤から水面下で残留交渉を重ねてきた。提示された条件は3年総額10億円(推定)プラス出来高払い。さらに、オプションで4年目の契約も可能という好条件だ。条件が不満だったわけではないが、「宣言した決め手?

 後悔したくないということです」。プロとして、他球団の評価も聞く率直な言葉が口をついた。

 自身のインターネットのブログには連日、ファンのコメントが殺到。多い日は400件を超える。それでも「気持ちがはっきりと決まっていないのに、コメントを出せない。ファンの声?

 届いてますよ。だから余計に悩むんです。僕みたいな選手にありがたい。じっくり考えます。今は、それしか言えない」と硬い表情になった。

 11月23日のファン感謝デーも出席は未定だ。移籍か残留か。もうしばらく、悩みは続く。横浜は三浦との交渉は手を尽くし、再交渉はしない方針だ。村上チーム運営部門統括は「FA残留もOKという方針は伝えてある。選手の権利だから尊重したい。五分五分と思っている」と話した。これから条件面の上積みは行わない方針で、他球団との交渉結果を待つしかない。通算124勝。エースとして横浜を支え続けた右腕の決断が注目される。【古川真弥】