<オリックス15-0楽天>◇19日◇東京ドーム

 オリックスの重量打線が、ついに爆発した。タフィー・ローズ外野手(40)が楽天戦で6、7号本塁打を放ち、通算223投手斬りで清原和博氏(41=日刊スポーツ評論家)に並ぶ日本記録を達成した。アレックス・カブレラ内野手(37)、ホセ・フェルナンデス内野手(34)も競演弾。3人の外国人が同じ試合で本塁打を打つのは球団史上初だ。また、完封負けした18日の屈辱を晴らす15得点の爆勝。岸田護投手(27)はプロ初完封で、チームの連敗も3で止まった。

 ローズの弾丸ライナーは重力に逆らうように右中間最深部に突き刺さった。2回、ラズナーの内角低めのカットボールを打ち返す先制の6号弾。4回にも11-0とするライナーを左中間に打ち込んだ。

 開幕から好調の主砲は2発を含む3安打。今季両リーグ最多15得点を挙げた打線を引っ張った。「昨日(の岩隈)と比べて、とらえられる球があったからね。本塁打より毎日3本ヒットを打つ方が大事だよ」と涼しい顔で振り返る。

 もちろん大記録を達成したことなど知るよしもなかった。4回、渡辺恒からの1発は通算223投手目からのメモリアル弾。巨人時代の同僚で、親友でもある清原氏に並ぶ日本タイ記録。96年に近鉄でデビューして以来、日本通算13年目(06年はプレーせず)にしての偉業。まさに最強助っ人の名にふさわしい金字塔を打ち立てた。岩隈にピシャリと抑えられた前夜は、宿舎近くの焼き肉店へ直行。カブレラ、フェルナンデス、ラロッカとカルテットが「逆襲」を誓い、結束を固めたばかりだった。

 試合中には「球を呼び込め」とフェルナンデスにラズナー攻略法を説き、直後に2号2ランが生まれた。4回にはカブレラが左翼最上段への特大4号3ラン。ラロッカには出なかったが、外国人3人が同じ試合で本塁打するのは球団史上初という“珍事”をも生み出した。3月17日、日本ハムとのオープン戦では4人の外国人が本塁打を放っており、「今後もこういうのを何回も見られるよ」と言うカブレラの予告も不思議ではない。

 4人全員が日本で4番経験を持つ「夢の打線」だが、実績にあぐらをかいている選手はいない。4安打で不振を脱出したフェルナンデスは早出練習が日課だ。カブレラは移動日となった17日、休日返上の打ち込みをただ1人行った。「ローズだけじゃなく、僕らも打てれば必ずチームは上にいけるから」と真顔で言い切る。この日は3人だったが、カルテット全員のアーチ競演が現実となってきた。【柏原誠】

 [2009年4月20日8時59分

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