西武が横浜を自由契約となった工藤公康投手(46)を獲得する方針を固めたことが25日、明らかになった。今季4位に低迷した大きな要因は、リリーフ陣の不振だった。特に左投手不足は深刻な状況で、先発も中継ぎもこなせるベテラン左腕に白羽の矢を立てた。工藤が古巣復帰となれば、FA権でダイエー(現ソフトバンク)に移籍した94年以来。現時点でほかに獲得に興味を示している球団はなく、来季、西武のユニホームで47歳現役を迎える可能性が高くなった。

 西武が来季で47歳、プロ29年目の働き場所を探している工藤の獲得に動く方針を決めた。昨季日本一から4位と低迷。投手陣の立て直しが急務で、西武黄金期の象徴的存在だった経験豊富なベテラン左腕にターゲットを定めた。工藤獲得の可能性について、小林信次球団社長は「気になる選手の1人。調査はしています」と興味を示した。

 今季は投手陣の不振がV逸の大きな要因となった。サヨナラ負け14度は両リーグワーストタイ記録。守護神グラマンの故障離脱が響いたとはいえ、リリーフの弱点を露呈した。特に計算できる左投手が不足。今季はセットアッパーの星野が持ち味を発揮できず、長く主力として支えてきた三井も10月に戦力外。横浜で先発に中継ぎもこなせる適性を示した工藤が補強ポイントに合致した。

 工藤は西武時代の94年オフ、球団と折り合わず、FA権を行使しダイエー(現ソフトバンク)に移籍した経緯がある。しかし、球団関係者は「当時のフロントは刷新され、獲得の障害になる可能性は低い」と話す。15年たった現在は、黄金期を支えた功労者を温かく迎え入れる用意ができている。

 現役時代から親交の深い渡辺監督も「獲得の可能性?

 ゼロじゃない」と獲得に前向き。工藤が横浜から戦力外を受けた際には「最年長勝利のプロ野球記録(48歳=阪急浜崎)を破ってほしい」と現役続行を願うなど、良き理解者として応援してきた。同じ高卒入団で、2歳年上の先輩工藤とは当時から息も合った。テレビのスポーツ番組でキャンプリポートを務めるなど「新人類」と呼ばれ、流行語大賞を受賞。立場は指導者と選手に変わるが、タッグ復活となれば、往年のファンを魅了するはずだ。

 小林球団社長は一般論と前置きして「投げるボールは、年齢を感じさせない。選手の模範になる存在」と若手への相乗効果を期待する言葉も口にした。選手会とNPBの申し合わせで、11月11日に開催される1回目の12球団合同トライアウト(甲子園)終了後までは戦力外となった選手と直接交渉できないため、実際にはそれ以降に獲得に動く。現時点では獲得に興味を示す球団は他になく、工藤の西武復帰が現実味を帯びてきた。

 [2009年10月26日7時50分

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