昨季2冠の主砲中日トニ・ブランコ内野手(29)が開幕を前に「金言」を手に入れた。24日、08年まで4番を務めたOBタイロン・ウッズ氏(40)がナゴヤドームを電撃訪問した。2年連続を含めて日本で3度の本塁打王に輝いた同氏から「2年目のジンクス」打破のため、昨年の自身の打撃を徹底的に復習するようアドバイスされた。ウッズ氏との初対面に感激した主砲はタイトル獲得を誓った。

 開幕を2日後に控えて、緊張感みなぎるナゴヤドームに懐かしい顔が現れた。05年から08年まで4年間、チームの4番として活躍したウッズ氏だった。現在フロリダで不動産業を行いながら、悠々自適の生活を送る同氏はテレビ番組の収録で来日。仲間たちを激励するため、仕事のある東京から名古屋へと足を伸ばした。はからずも新旧4番の初顔合わせが実現した。

 「ブランコ?

 もちろん知っているよ。去年、39本もホームランを打っているんだろ?

 いつも通りにやれば大丈夫さ」。ブランコのフリー打撃をじっくり見たウッズ氏は現4番を持ち上げながらも、2年連続で本塁打王を獲得することの難しさ、そして、それを克服するポイントを惜しみなく伝授した。

 「開幕して1カード目はしっかりとボールを見ることが大切だ。そして、相手も昨年以上に研究してくるだろうから、去年の試合のDVDをもう1度、よく見直すことだ。そして弱点や課題を見つけたら打撃コーチに相談することだ」。

 ウッズ氏が最も重要なポイントとして挙げたのが、相手投手の配球を復習することだ。スコアラーが傾向と対策を徹底分析する日本野球では毎年、各選手の弱点が洗い出される。ウッズ氏も来日1年目の03年に40本塁打すると、翌年から他球団に徹底的にマークされた。克服するには逆に相手以上に己を分析するしかないという。

 来日1年目で39本塁打、110打点と大活躍したブランコは今季も2冠王を狙うと宣言している。だが、他球団も指をくわえて見ているはずがない。昨季の終盤にライバル巨人が見せたような徹底した内角攻めも予想される。パワー、技術だけでなく、頭脳でも戦わなくてはならない。

 「タイロンのことはアメリカにいた時から(聞いて)知っていた。すごい打者だ。僕もそうなれるよう頑張るよ」。ウッズ氏の激励に感激したブランコは笑顔で目標達成を誓った。思えば前回リーグ優勝を果たした06年、ウッズ氏は47本塁打、144打点の圧倒的な成績で2冠王を獲得した。悲願のV奪回はやはり主砲のバットにかかっている。【鈴木忠平】

 [2010年3月25日11時14分

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