<広島4-6阪神>◇3月31日◇マツダスタジアム

 やっぱりアニキは鉄人だ!

 阪神金本知憲外野手(41)が広島戦の3回、右肩痛をものともせず左腕斉藤から右翼へ逆転2ランを放った。開幕5試合目での今季1号は、全国33球場目となるマツダスタジアム初本塁打。自己通算でも443号とし、長嶋茂雄(巨人)にあと1本とした。何度も逆境を乗り越えてきた4番の超人的な活躍に引っ張られ、真弓阪神は開幕2カード連続の勝ち越しを決めた。

 重量打線の中心を張れるのは、やはりこの男しかいない。4番金本だ。前日3月30日の広島戦で今季初適時打を記録。ようやく今季の“開幕”を迎えたアニキが、今度は今季初本塁打でチームを勝利へと導いた。

 「インサイドから入ってくるスライダーをうまく巻きつけて打てた。しっかりとらえたので(打った瞬間)入ると思いました」。自画自賛した1発は、1点ビハインドの3回。第2打席で出た。カウント2-2からの6球目。4球続いた低めスライダーをバット上面に乗せると、腰の回転を利用して最後は右腕1本で右翼席中段まで運び去った。技ありの1発だった。

 5年ぶりのBクラスに沈んだ昨年。金本自身も阪神移籍後ワーストとなる打率2割6分1厘、21本塁打、91打点に終わった。周囲でささやかれる「限界説」。そんな雑音を封じるには、バットで結果を出すしかない。そんなことは他の誰でもない、金本自身が一番分かっている。

 「過去2年は手術明けで、ぶっつけ本番という感じだったけど、今年はしっかり準備する時間があった。万全の状態でシーズンに臨める」。決意を新たに臨んだ今季。万全な調整を続けていた金本の体に異変が生じた。右肩痛。オープン戦終盤の守備練習中に選手と激突し、右肩を強打するアクシデントに見舞われた。2週間が経つが現在も痛みを伴う状態。初回の左翼フェンス直撃先制適時打、3回の本塁打も右肩をかばいながらの打撃だった。

 この日も練習前にトレーナーから患部をほぐしてもらう姿が見られた。打撃練習後には、中堅後方で補強運動を行う投手陣に混じり、ゴムチューブを使用して右肩周辺細部の筋肉を強化。万全にほど遠い状態の中でも、連続フルイニング出場を更新する男は最善の準備を怠らない。午前中には広島市内のトレーニングクラブ「アスリート」で下半身強化メニューもこなして球場入りしていた。

 この日の1発で通算本塁打は443本となり、長嶋氏の記録にあと1本と迫った。同時にあと1本放てば、落合氏以来2人目となる2球団での200本塁打達成。自身にとってメモリアルな数字が待ち構える。「なかなかタイミングが合わなかったんですけど、もう開幕してますから合わないでは済まされない。もっともっと、続けていきたい。打率も2割あるかないかなんで、どんどん調子上げていきたい」。幾度も修羅場をくぐり抜けてきた男の言葉だけに、必要以上の期待をしてしまう。【石田泰隆】

 [2010年4月1日11時32分

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