<横浜3-5中日>◇6日◇横浜
ウルトラマンが帰ってきた!
中日山井大介投手(31)が先発し、6回途中3失点の粘投で3年ぶりの白星。07年の日本シリーズ第5戦で8回まで完全試合を演じた男が、それ以来となる887日ぶりの復活勝利を飾った。打っても5年ぶりとなる2本のタイムリーで自らを助けた。投打にわたる活躍でチームは5連勝。今季初の単独首位へと躍り出た。
忘れかけていた懐かしい勝利の味だった。ウイニングボールを手に、ナインと笑顔で交わす固い握手。ファンの声援も素直にうれしかった。07年の日本シリーズでチームを日本一に導いて以来の白星で、山井がついに完全復活。故障、強制送還、ファーム降格…、つらかった過去が次々と頭の中を駆けめぐった。
山井
長かったですね。なかなか勝てなかったけど、いつかこの日が来ると信じてやってました。でも、今日はリリーフ陣や野手の方にもらった勝利。あの(日本シリーズ)ようなピッチングはなかなかできないけど、これからも1試合ずつ大事に投げていきたい。
パーフェクトでなくても粘り強く投げ続けた。この日は打っても、2打席連続のタイムリー。5年ぶりの適時打に「本当に振ったら当たっただけ。オマケです」と、はにかんだ。
02年の入団以来、肩やひじの故障で、1年間フルで投げることができたのは昨年の1度だけ。08年には右ひじ痛で1年のほとんどを棒に振った。「オレは何年間、同じことを繰り返しているんだろう…」。思い通りにいかない体に自問自答する日々が続いた。
「オレも今年で終わり(引退)かな…」。今年2月、韓国・三星との練習試合では、打者11人に対して5安打を許し、思わず弱音を吐いたこともあった。だが、がけっぷちで踏ん張った。オープン戦で結果を残し、5年ぶりに開幕ローテをつかんだ。
シーズン開幕の3月26日には、ホームセンターで買った組み立て式のラックをナゴヤドームに持ち込んだ。「ロッカーに置こうと思ってね」。降格すれば、代わりに昇格する選手のために明け渡さなければならないロッカー。昨年は6度の先発にことごとく失敗し、2度のファーム行きを命じられた。それだけに、今年こそ1年間、1軍で先発ローテを守るんだという強い意思の表れだった。
試合後、田村捕手コーチからは「よっ、久しぶり!」と握手され、井上打撃コーチからは「887日ぶり?
ちょっとしたオリンピックみたいだな」と、冷やかされた。それほど長かった。だが、山井にとってはここからが始まり。「今年こそ1年間、1軍で活躍したい」。もう、後ろは振り返らない。山井が新しい自分を求め、大きな1歩を力強く踏み出した。【福岡吉央】
[2010年4月7日11時36分
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