<横浜2-1中日>◇8日◇横浜

 横浜寺原隼人投手(26)が郷里の先輩にささげる1勝を挙げた。急逝した巨人木村拓コーチとは同じ宮崎県出身。「このオフも県人会のみんなでご飯を食べたり、ゴルフをしたりと本当に楽しかった。もう会えないのかと思うと寂しい」。勝利の喜びに浸る笑顔が、神妙な表情に変わった。

 前回のヤクルト戦でも6回1失点と好投したが、チームは0-1で敗れた。1失点でも負けは負け。絶対に先制点は取られないつもりで中日戦のマウンドに上がった。「初回の内容がひと息だったが、うまく修正できた。先に点を与えない意識でやった」。5回に1点を取られたが「僕は一気にやられるパターンが多い」と気を引き締め、悪い流れを断ち切った。7回二死から野本を空振り三振に打ち取り、最後はガッツポーズでマウンドを下りた。

 4回には自らのバットで追加点。投打にわたる大活躍を演じたこの日、由記夫人(25)と長男長女がスタンドにいた。生まれて8カ月の長女はこの日が初の野球観戦。「家族3人で見にくるのは初めてですからね」とほおが緩んだ。家族のためにも、木村拓コーチのためにも、何としても勝ちたかった。「木村さんは家族をすごく大事にする人だった」。マウンドから天国へ、寺原の思いも届いたに違いない。【鈴木良一】

 [2010年4月9日10時24分

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