<阪神8-7巨人>◇2日◇甲子園

 伝統の一戦に新たな歴史が刻まれた。JAが“初アーチ”で競演だ。阪神城島健司捕手(33)は2点リードの5回、TG戦初アーチとなる6号3ランを左翼スタンドへ運んだ。1点を追う7回は、新井貴浩内野手(33)が虎の4番として初となる4号同点ソロ。同学年のJAが初アベック弾を放ち、G倒劇を彩った。

 甘いボールは逃がさない。城島が、迷いなく振り切った。2点リードの5回2死一、二塁、久保の高めスライダーを、左翼ポール際にたたき込んだ。一塁を回ると両手を広げて、ホームの大歓声を一身に受けた。

 「甘いところにきて、うまくつまって打った」

 開幕の3月26日横浜戦以来2度目となる猛打賞を豪快な6号3ランで決めた。

 レギュラーシーズンで巨人からの1発は5年ぶり2本目。伝統の一戦では“1号”だ。ソフトバンクで交流戦1年目の05年6月3日(東京ドーム)以来で、翌06年に米国に移籍している。しかし実は00年の巨人との日本シリーズでは4本塁打をかっ飛ばしている。

 「おれも張り切らなきゃいかん?」。4月13日、東京ドームでの「伝統の一戦」で過熱するメディアを見て、そう口にした。今季、使用しているキャッチャーミットの編み目部分には「日の丸」のマークが入っている。日本代表として04年アテネ五輪で銅メダル、09年WBCでは世界一を経験。国際大会の修羅場をくぐり抜けた日本人初のメジャー捕手に力みはなかった。

 過剰な意識はなくても、巨人の底力は身にしみた。5点のリードを一時はひっくり返された。7回には久保田が2暴投で同点、勝ち越しを許した。「止めてあげたかったけど、別に形が悪くてやったわけじゃない。野球だからある。ひきずってもしょうがない」。

 再び1点リードした最終回。ジョーの配球に強烈な自負心がにじんだ。9回1死一、三塁の同点ピンチで、藤川にフォークを要求した。直球とのコンビで脇谷、小笠原を連続三振。ワンバウンドのフォークをきっちり止めて「あれでフォークを消したらキャッチャー失格や」と試合を締めた。

 「捕手としては緊張感があって2、3試合分は疲れたゲームだけど。喜んでというか、醍醐味(だいごみ)ですから」。今季初の同一カード3連勝を巨人から奪った。「ホーム、甲子園で巨人という強いチームと3つ勝負ができた。今後もこうやって食いついていかないといけないチームでしょうから」と、これからも続く巨人との死闘を見据えていた。【益田一弘】

 [2010年5月3日11時3分

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