<中日5-2横浜>◇22日◇浜松

 ブランコだ!

 森野だ!

 和田だ!

 中日が強力クリーンアップ「BMW」のアーチ競演で横浜に快勝した。同点で迎えた6回にトニ・ブランコ内野手(29)が勝ち越しの17号2ランを放つと、8回には森野将彦内野手(31)が9号ソロ。直後に和田一浩外野手(38)が12試合ぶりとなる18号ソロを放った。3人のアーチ競演は昨季7月28日の巨人戦以来3度目。チームは「BMW」そろい踏みで上位浮上へ弾みをつけた。

 すべてのうっぷんを振り払うような一撃だった。3点リードの8回。カウント1-0から中日和田は横浜寺原の高めに浮いたスライダーを見逃さなかった。フルスイングでつかまえたボールは、浜松の夜空に舞い上がり左翼席中段に着弾した。実に12試合、47打席ぶりのアーチ。6回にはブランコが勝ち越し弾を放ち、8回には直前に森野がバックスクリーン右横にズドン。そして最後にベンちゃんが待望の本塁打で「BMW」のアーチ競演をド派手に完成させた。

 「巨人戦で打てずにずっとチームに迷惑を掛けていた。1本出て良かった。積極的にいこうというところは変えなかった」。18日からの巨人3連戦(東京ドーム)では11打数ノーヒット。2カ月前は4割超あった打率は3割4分9厘までジワジワ降下した。21日の全体練習では谷繁、岩瀬のベテラン勢が休養を選択する中で、休日を返上。「あがいて努力しないと。あがきながらやっていくしかない」と浜松球場で黙々とバットを振った。

 “新4番”として初めての本塁打だ。10日の楽天戦(Kスタ宮城)からブランコの不振もあり、5番から2年ぶりに4番にすわった。「打順は関係ない」と話していたが、それまで量産態勢だった本塁打がピタリと止まった。仙台入りした8日にはその足で東北福祉大時代の恩師・伊藤義博監督が眠る仙台市青葉区の弥勒(みろく)寺に向かった。恩師に今季の活躍を誓っていただけに、ふがいなく、悔しかった。そんな思いもこの日の一撃にはこもっていた。

 「そこが打ちゃ勝つだろう。違うか?

 そこが打たなきゃ負けるか苦しむかだ」。落合監督は帰りのバスに乗り込む際に独特の表現で主軸のアーチそろい踏みをたたえた。和田は「これがきっかけになるか分からない。また明日になってみないとね。まあ、頑張りますよ」とニッコリと笑った。強力クリーンアップの復活で「らしさ」を取り戻した中日は、借金もきっちり返済。その中心には4番和田がドッシリと腰を据えていた。【桝井聡】

 [2010年6月23日12時8分

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