<巨人8-10阪神>◇2日◇東京ドーム

 阪神が2カ月ぶりの伝統の一戦を2度の逆転で制した。7回に一挙6点を奪って逆転し、直後に巨人にひっくり返されても8回1死一塁からクレイグ・ブラゼル内野手(30)のバックスクリーンへのリーグトップに並ぶ27号2ランで再逆転した。6回までは無得点に抑えられていたが、7回からの3イニングで10得点を挙げる爆発力で、首位巨人との差を3ゲームとした。

 陽気なブラゼルが鬼の形相になった。迷惑をかけた。何とか取り返したかった。8回1死一塁。4球ファウルで粘っての9球目を迷わずフルスイングした。左翼席の大歓声と右翼席の悲鳴が重なる。打球がバックスクリーン最上部を直撃した。「とにかく前へ飛ばそうと思った。前の回にエラーしてしまって。取り返す機会をもらえた。あの状況で打てたのは良かった。1発が出て正直ホッとしたよ」と、いつもの人懐っこい笑顔で言った。

 痛恨のミスを悔やんでいた。4点を追う7回、打者11人の猛攻で6得点を挙げで逆転した。ブラゼルも四球でつないだ。だがその裏の1死一、二塁、5番阿部の強烈なライナーをショートバウンドでキャッチしたまでは良かったが、併殺を焦ってボールをファンブル。勝負どころでの失策で1死満塁とし、巨人の再逆転を呼び込んでしまった。だから、どうしても打ちたかった。

 推定飛距離145メートルの特大アーチ。巨人阿部に並ぶリーグトップの27号は、大激戦の行方を決める逆転2ランとなった。練習前には阿部と腕の力こぶを見せ合って互いの健闘を誓い合い、試合では2人そろって1発を放った。ブラゼルは余韻を味わうかのように、視線を落としてゆっくりダイヤモンドを回った。

 「4つ葉パワー」に守られている。実は最先端を行く機器が大好きな“ハイテク選手”。高性能な携帯が新登場すれば次々に機種変更を行うが、ストラップだけは1年前から変えていない。縦じまのタイガース・ストラップ。透明なプラスチックの中に、4つ葉のクローバーが入れ込まれている。昨年のシーズン中、母メアリーさんが神戸市内の自宅近くをショッピングしていた際に偶然見つけ、愛する息子にプレゼント。「幸運をもたらしてくれるらしいね。すごく大切にしているよ」。温かいお守りに支えられ、グラウンドに立っている。

 「世界中を見ても、巨人と阪神以上のライバル関係はないんじゃないかな。いつも以上にやってやろうという気持ちになるんだ」と言う。これで巨人戦4連勝。首位チームとの大事な初戦を制し、ゲーム差を3に縮めた。真弓監督も「何とかあと2つ、気持ちを込めて勝っていきたい」と力強く誓う。巨人の背中を追い、猛虎の足が速度を上げている。【佐井陽介】

 [2010年7月3日8時23分

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