<中日1-2ヤクルト>◇14日◇ナゴヤドーム

 「さかな君」がホンモノだ。ヤクルト村中恭兵投手(22)が中日戦で、7回6安打9奪三振の無失点に抑えて6勝目。防御率も3・01まで上昇し、3位に浮上した。3位争いには気が早いが、チームは4連勝と上昇気流に乗ってきた。

 ツバメの若きサウスポー村中が、首位巨人に3タテを食らわせた恐竜打線をねじ伏せた。「勢いがある打線だけど、それを消せるような投球を心掛けました」。最速149キロの伸びのある速球と変化球で9三振を奪い、5回以上を投げた試合では今季初の無四球。124球の快投を見せた。

 セットポジションからの投球。特に落差のあるフォークは相手打者を四苦八苦させた。対戦した26人中、8人をフォークで“KO”。特に4回は自慢の勝負球の見せどころだった。先頭から連打され無死一、二塁。4番和田へのフォークは真ん中に浮いたが、鋭い切れで微妙に芯を外し中飛。続くブランコはワンバウンドになるフォークで空振り三振、セサルも同じフォークで右飛に仕留めた。「全体的に低めに投げられた。今日は迷いなく投げられました」とウイニングショットに胸を張った。

 入団以来、左ひじ痛などの故障も味わったが、学生時代から愛読するボクシング漫画「はじめの一歩」の精神で歩んできた。いじめを受けていた主人公がボクシングで強く成長する姿に刺激を受けた。高卒5年目の今年、開幕からローテーションの一角を担い、これで08年の自己ベストに並ぶシーズン6勝目。奪三振率8・94はダントツでリーグトップだ。それでも「7敗」という現実に「負け越しているんで、1つ1つ勝っていくだけです」と浮かれることはなかった。

 チーム浮上の願いを込め、7日「七夕の日」の阪神戦から球団マスコットつば九郎のミニ人形をベンチに持ち込み、ナゴヤドームにも帯同させた。その神通力も通じて、中日には6・5ゲーム差だ。上位チームをリングサイドに追い詰めるまで、村中にとってもチームにとっても、これからが大事な1歩だ。【由本裕貴】

 [2010年7月15日9時17分

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