<巨人4-8阪神>◇4日◇東京ドーム

 真弓阪神がライバル巨人に快勝し、一夜で首位を奪い返した。2回、ランディ・メッセンジャー投手(28)が左中間に放った打球が1度は本塁打と判定されながらも、ビデオ判定で二塁打となるアンラッキーに見舞われた。強力打線が巨人戦9試合連続2ケタ安打の破壊力を見せつけて見事にカバー。8月4日、スコアは8-4。まさに「阪神の日」になった。

 この日も女神にそっぽを向かれてしまうのか…。阪神ベンチ、左翼席に陣取った虎党の多くがそう感じていた。騒然とする雰囲気の中、鳥谷敬内野手(29)は違った。「レフトの動きを見ていれば入ってないと思ったので、気持ちの持っていき方は難しくなかった」と、冷静だった。選手会長のバットが、嫌な流れを一掃した。

 2回。1点を先制し、なおも2死一塁から投手メッセンジャーの打球は左中間へ一直線。1度は本塁打と判定されたが、ビデオ判定で二塁打に変更された。2死二、三塁で試合再開。無得点に終われば、流れを失いかねない大事な場面。クールな背番号1は、冷静だった。

 際どいコースを攻める巨人内海のボールを見極め、好球を待つ。フルカウントからの7球目。外角スライダーを強引に引っ張り込み、一、二塁間を破ると、三走浅井に続き、「幻の本塁打」のメッセンジャーも迎え入れた。ビデオ判定で失った2点を、すぐさま奪い返した。「昨日は序盤のチャンスを生かせなかった。今日はいい形でかえせて良かった」とうなずいた。

 ビデオ判定の間、ベンチ前まで戻り、バットスイングを入念に繰り返した。本塁打か取り消しか。あらゆる状況を想定していた。「中断している間は(本塁打取り消しでの試合再開は)2死二、三塁だし、つないで走者をかえそうと思っていた」。チームにとってはマイナスな判定でも、「想定内」。しっかりと、結果を残した。

 鳥谷の一打で場内は一変。平野も右前適時打で続き4-0と主導権を握った。トドメはその平野だ。6回2死一、三塁。ロメロからダメ押し3ランを右中間席に突き刺した。08年5月3日以来となる通算15本目に「まさかいくとは思わなかった。僕なんてあんまり打つ打者じゃないんで、みんな盛り上がってくれてうれしい」と喜んだ。関本にはヘルメットを脱がされ、ブラゼルにはレスリングのタックルを食らうように高く持ち上げられた。3安打4打点の伏兵の活躍に、チームが一体となった。

 一夜で首位に返り咲いた。宿敵巨人に9試合連続2ケタ安打となる猛攻で快勝。真弓監督は「ビデオ判定があったが、それを鳥谷、平野が(適時打で)続いてくれた。かえって良かったのかな」と、取り消された2点以上の“副産物”に満足そうだ。前日3日は11安打も10残塁と運に見放されての敗戦。「ツキがなかったというのが大きい」と肩を落としていたのは過去のこと。「連敗しなくて良かった。1勝1敗なので、明日勝ち越して(名古屋へ)行きたい」と結んだ。敵地での大きな1勝だった。【石田泰隆】

 [2010年8月5日9時34分

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