<巨人9-1阪神>◇5日◇東京ドーム
う~んまた1日天下ですか。おまけに城島健司捕手(34)は5回で交代しちゃうし…。なんて虎党の心配は募りますが、これぞ真弓明信監督(57)流の「V奪回プラン」。点差が開けば無理せず、主力にも休養を与えながらペナントレースを勝ち抜こうという狙いなのだ。国民が注目した伝統の一戦、真夏の天王山でみせたこの余裕が、きっと秋の天下統一につながると信じて、中日征伐に向かうとしましょうか。
「逆転の虎」はあえて牙を隠した。天下分け目は大げさだが、首位攻防戦の緊迫感が漂う東京ドーム。そんな中でも、真弓監督は落ち着き払っていた。
戦略的に“兵”を退く。ベテラン指揮官のような采配が見られたのは、5回裏だ。主戦捕手の城島に代えて、プロ4年目の清水にマスクを任せた。6点を追う苦しいゲーム展開だが、今季は31度の逆転勝ちを誇る。実際に4月13日の同カードでも6点差をはね返した。「城島はアクシデントか?」と問われ、少しの間を置き、答えた。「ちょっとね…。明日はたぶん出られるよ」。
宿敵との重要な一戦で、積極的休養を命じたのだった。城島本人が試合後に「大丈夫」と話したように、大きな故障が途中交代の原因ではない模様だ。吉田バッテリーコーチは説明した。「疲れもあったと思う。点差が開いたら、休ませるというのもあった。でも、なかなか休ませる展開にならなかったから」。開幕から全試合でスタメン出場。捕手というポジションは腰や足などに疲労が蓄積しやすい。今季は接戦が多いため、攻守の要である城島を途中で外すことはなかなかできなかった。試合前練習では外野兼任の狩野に、捕手練習をさせ、今回のケースに備えていた。
真弓監督の胸の内には、先を見据えた選手起用があった。球宴前の時期に、こんな考えを明かしていた。「ずっと試合に出ている選手は、休ませることを考えていかないといけない」。5年ぶりにリーグ制覇を狙うためには、1年間の長期的視野で戦いに臨まなくてはならない。「本当の勝負は9月後半」と指揮官は言い切る。勝てる試合は確実にモノにするが、そうではない場合、選手に無理を強いることはしない。たとえ、敗れればせっかく返り咲いた首位の座から滑り落ちることになるこの日がそうだった。
帰りのバスに向かう真弓監督の前を、金本が歩いていた。階段で用具を持ち上げる42歳のベテランに、そっと手を貸した。ナインの底力に頼る時期は、いずれ来る。この先にきっと来る。言葉と行動で、ぶれない信念を表していた。1日で巨人に首位を明け渡したが、一喜一憂するはずがなかった。3日の初戦同様、2位転落の話題にニヤッとした。「これからでしょう」。勇気ある撤退が秋に実を結ぶと、信じている。
[2010年8月6日11時26分
紙面から]ソーシャルブックマーク



