<中日4-1阪神>◇6日◇ナゴヤドーム

 阪神クレイグ・ブラゼル内野手(30)が自身5試合ぶりの34号ソロ本塁打をぶちかまし、本塁打王争いで巨人ラミレスに1本差へ迫った。中日先発吉見の前に無安打に抑えられていたが、5回1死走者なしから意地の1発。途中加入で16本塁打を打った昨季と合わせて虎50号もマークした。これはブリーデン、バースに次ぐハイペース。頼れる助っ人の勢いだけは、衰え知らずだ。

 眠れる虎を目覚めさせようと、ブラゼルが白木の相棒を振り抜いた。青色に染まった右翼席は静まりかえり、黄色い左翼席が息を吹き返す。スコアボードの安打欄は「0」から「1」へ。記念すべき1発が敵地の雰囲気を一瞬で変えた。

 ブラゼル

 つないで何とかしたいと思っていたんだ。(先発の)鶴も最少失点で頑張ってくれていたし、追いつけて良かった。

 試合中のコメントが物語る通り、狙って打った訳ではない。中日吉見の前に完全投球を許し、1点を追う5回1死。カウント2-1と追い込まれ、がむしゃらに食らいついた。短く持ちかえたバットで外角フォークをミート。軽打した打球は弾丸ライナーに変身し、センターバックスクリーン右に突き刺さった。この日チーム初安打は値千金の1発。5試合ぶりの34号でナインの士気を高めた。

 刺激をくれる男がいる。7月、オリックスに途中入団したベネズエラ出身選手カラバイヨだ。阪神入団直後の昨季6月上旬。実戦感覚を取り戻すため、2軍の練習試合、四国・九州アイランドリーグ選抜戦(鳴尾浜)に出場。当時は高知に所属していたカラバイヨと出会い、異国で懸命にプレーする姿に心を打たれ、野球用具一式をプレゼントしていた。そんな“同志”が今年プロ入りの夢をつかみ、現在も1軍で活躍中。「もちろん彼のことは覚えている。今、彼は上(1軍)にいるんだよね。うれしいことだ」。喜び、エネルギーをもらっている。

 これで昨季途中に阪神移籍後、50本目のアーチ。チーム190試合での到達はブリーデン、バースに次いで3番目のスピードだ。今季だけで言えばシーズン52発ペースで突っ走り、本塁打キング争いでトップに立つ巨人ラミレス(35発)の背中をはっきり視界でとらえた。ただ、本人の中で記録や数字は二の次。勝利に貢献しようと、毎日必死なだけだ。首位浮上のチャンスを逃した。ブラゼルは悔しさを隠すことなく、真っ赤な顔でバスに乗り込んだ。

 [2010年8月7日11時28分

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