がけっぷちの阪神真弓明信監督(57)が24日、逆転優勝に自信を見せた。2・5ゲーム差の首位中日が残り3試合を全勝なら、残り10試合の全勝が条件と、優勝は奇跡に近い状況だが「何で奇跡やねん!

 失礼な!」ときっぱり。自力優勝の可能性が残っていることを踏まえ、11連勝フィニッシュに意欲をみなぎらせた。近日中の金本知憲外野手(42)の先発復帰も明言。先発で4勝のルーキー秋山拓巳投手(19)の中継ぎ登板プランも浮上した。総力戦で最後の大勝負をかける。

 阪神真弓監督はカッと目を見開いた。「リーグ優勝は奇跡との声もあるが」と聞かれると「何で奇跡やねん!

 失礼な!」と即答した。本気で10戦全勝を狙っている指揮官にとっては奇跡ではない。いつになく口調は強かった。

 “奇跡”を起こすため、金本のスタメン復帰を画策している。右肩痛による不振は、15日の横浜戦で自らスタメン落ちを申し出るほど深刻だったが、入念な治療とトレーニングの成果で良化。和田打撃コーチが「スタメンを外れる前よりもスイングは力強い」と、太鼓判を押すところまで回復した。真弓監督は、先発復帰も「残り試合であると思う」と明言。早ければ25日の広島戦(甲子園)から、9戦ぶりの「6番左翼」に戻したい考えだ。

 負けられない厳しい戦いの中、金本が先発に名を連ねるだけで打線の威圧感が違ってくる。打率2割3分8厘、14本塁打、40打点は物足りないが、ここ一番の勝負強い打撃力と、幾多の修羅場をくぐり抜けてきた男の存在感は群を抜く。4番新井も「金本さんがいないとしっくりこない」と漏らすなど、ナインからの待望論は根強い。復調した金本の復帰で、打ち勝つという原点に戻って、最後の大勝負に挑むことができる。

 23日、鬼門ナゴヤドームでの最終戦を制し、チームは生き返った。「やはり打って、点を取ったことが大きい」。真弓監督はマートン、新井、城島ら主力が役割を果たしての勝利に手応えを感じ取った。そして「負けられない重圧」についてもきっぱり言った。「今までもずっとそういう気持ちでやってきた。楽な戦いはなかったから。これまでと変わらない」。4連勝中のルーキー秋山を25日広島戦以降で、中継ぎ登板させるプランも浮上。慌てず騒がず、真弓野球の総力を尽くす。その先に、奇跡ではない逆転優勝が見えてくる。【松井清員】

 [2010年9月25日8時46分

 紙面から]ソーシャルブックマーク