日本ハムやヤクルトなど複数の球団が、28日のドラフト会議で、米国の名門、南カリフォルニア大の日本人の指名を検討していることが11日、分かった。東京都出身の藤谷周平(ふじや・しゅうへい)投手(23)で、190センチの長身から96マイル(約154キロ)前後の速球を投げる救援投手。高校から米国でプレーし、09年6月の米大リーグのドラフトでは、パドレスから18巡目(全体534位)で指名されながら入団はしていない。日本で無名の謎めいた右腕が、早大・斎藤佑樹ら逸材がそろう“豊作ドラフト”を騒がせそうだ。

 約2週間後に迫ったドラフト戦線に「フジヤ・シュウヘイ」という、聞き慣れない名前が、急浮上してきた。所属は南カリフォルニア大。今季は19試合に登板して5勝1敗2セーブの成績を残した190センチ、77キロの右腕で、96マイル(約154キロ)前後の速球を投げる救援投手。米球界関係者によると、高校、大学と日本でのプレー経験はないが、日本国籍を持っている藤谷の情報を日本ハムやヤクルトなどがキャッチ。ドラフト会議での指名が検討されているという。

 日本球界では無名で、ややミステリアスな印象だが、漏れ伝わってくる情報によると、藤谷が米国で積み上げてきたキャリアは抜群だ。東京生まれで、父親の仕事の関係で中学のころに渡米。カリフォルニア州のアービン高校では4年間、優秀選手として奨学金をもらっていたという。ノーザン・アイオワ大に入学すると2年生からレギュラークラスとして活躍した。3年生だった09年には、21試合に登板して22回2/3で29奪三振、1勝4敗9セーブをマーク。2年時の1セーブと合わせて計10セーブは、同大の史上最多タイ記録となった。

 そんな活躍が知れ渡って、ベースボール・アメリカ誌では、将来を嘱望される選手を取り上げた「トップ・プロスペクト100」に選ばれた。同年6月のドラフトでは、3年生ながらパドレスから18巡目で指名された。理由など詳細は明らかになっていないが、パ軍には入団しなかった。シーズン終了後にノーザン・アイオワ大の野球部が解散したため、今季からメジャー通算303勝のランディ・ジョンソンらを輩出した名門の南カリフォルニア大に移籍している。

 未知数な部分は多いものの、残してきた成績から判断するならば、日本の球団で需要の多い中継ぎや抑えとして即戦力となりそう。23歳と若く、将来は先発として頭角を現してくる可能性も十分にある。既に複数の球団が獲得するかどうかを判断するため、極秘でチェックを済ませ、ドラフト会議で指名する方向で準備を進めているという。米球界関係者によれば「日本の球団が確実に指名をするだろう」という状況。今後、検討する球団が増える可能性もある。

 早大の斎藤と大石、中大・沢村ら大学生投手がドラフトの目玉として脚光を浴びる中、新星が登場。異色の逆輸入投手が、28日の“豊作ドラフト”に彩りを添えることになりそうだ。

 [2010年10月12日9時47分

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