オレ竜に秘策あり。中日落合博満監督(56)が12日、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージへ向けてスペシャルシフトを試した。みやざきフェニックス・リーグのヤクルト戦(久峰)で井端弘和内野手(35)を01年7月以来、9年ぶりに外野でスタメン起用。6年連続ゴールデングラブ賞の名手を外野にコンバートする大胆な策は万が一のオプションを増やすとともに、チームに刺激を与える狙いがあったようだ。

 CSファイナルステージへ向けての直前合宿初日。落合監督は“サプライズ”を断行した。「2番センター、井端」。試合前の練習中に本人に告げた。6年連続ゴールデングラブ賞の名手を大胆に外野へコンバート!?

 コーチ陣も、いや本人でさえ目を丸くする仰天プランだった。

 井端は9年ぶりの外野に明らかに戸惑っていた。5回に1度だけ飛んできた打球に対して最初はバックステップを踏んだが、その後詰まっていると判断し、あわてて前進した。「素人だよ…」。何とかキャッチした後に苦笑い。6回からは二塁にまわったが、最後まで表情は複雑だった。

 約1週間後に迫ったファイナルステージで井端の外野起用はあるのか-。落合監督は報道陣の問いを意味深な笑顔でかわした。

 「わかりません。そんなこと。ふるいにかけなきゃいけない。そのために全員抹消したんだ。のほほんとしていられないって」。

 目の異常とみられる体調不良で6月に離脱した井端は、10月に入って実戦復帰。CSでは堂上直と二塁を争う形だったが、中堅で起用できるとなれば、この日の打線のように堂上直と共存できる。課題である得点力不足解消策の1つと言える。ただ、笘篠外野守備走塁コーチが「僕もびっくり。万が一に備えてではないかな」と言うように、非常事態のオプションである可能性が高い。

 むしろ、もう1つの狙いは指揮官が自ら口にしたようにチーム内競争の激化だろう。実績のある井端が中堅に回れば、はじき出されるのは藤井、大島、野本、堂上剛ら若手外野手。試合後、夕やみが迫る久峰総合公園野球場では4打数1安打に終わった井端が悲壮な表情で居残り打撃を行っていた。「(外野を)やれと言われればやるしかない」。その脇で藤井、野本らもバットを振った。全員抹消に続き、落合監督が投入した“刺激剤”が、チームに緊迫感を生んだ。【鈴木忠平】

 [2010年10月13日12時26分

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