住生活グループへの球団売却問題に揺れる横浜の主力選手のFA問題にも波及しそうだ。シーズン中に国内FA権を取得した村田修一内野手(29)と内川聖一内野手(28)の交渉が暗礁に乗り上げている。くしくも12日に同グループ潮田(うしおだ)洋一郎会長(56)が球団人事などについて「さわらないでいただきたい」と発言。チーム編成の上で最重要課題とされていたが、両選手とも希望する球団との話し合いが棚上げ状態で戸惑いを隠せない。13日、横須賀・ベイスターズ総合練習場で秋季練習がスタートした。

 秋季練習に参加した内川は、FA権の行使について慎重に言葉を選んだ。「何も考えていない。家族とも話し合っていない」。現時点での白紙の立場を強調したが、まず希望するのは横浜側と話し合いの場を持つこと。ただ、球団が身売り問題に揺れているだけに、交渉まで至っていないのが現状だ。「向こう(球団)もゴタゴタしているし、落ち着いてからでないとどうしようもない」と話し、当面は状況を見守る方向性を示した。

 村田も同様の見解だ。選手会長の立場としては「口を出すところではない」と交渉の推移を見守る姿勢を見せたが、自身の将来にかかわる問題でもある。「自分を必要としてくれているのか?

 これから先、球団をどう立て直していくのかを聞きたい」と、球団との話し合いに意欲を見せているだけに、騒動の余波を感じている様子だ。FA行使するか否かは、身売り騒動の影響はないとしながらも「球団と話し合いたいが、落ち着いてくれないと…」と複雑な表情をのぞかせた。

 横浜の加地球団社長は常々「社会人としての礼儀」として2人との会談の早期実現を公言していた。だが、身売り問題の影響を受け、具体的な日程設定にも至っていない。

 尾花監督は10月下旬まで宮崎のフェニックス・リーグを視察中。来季組閣も定まらない中、横須賀での秋季練習は残留するコーチ陣の集団指導体制でスタートした。約2時間半で終了した全体練習は一連の騒動を感じさせない雰囲気で行われたが、ベテランの清水は「不安を持っている選手がいるかもしれないが、みんなで頑張っていかないと」と選手の気持ちを代弁する。口には出さないが、現場の誰もが早期決着を望んでいるのは間違いない。

 [2010年10月14日8時2分

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