横浜の内川聖一内野手(28)が25日、今季取得した国内FA権を行使する意向を示した。秋季練習中の横須賀ベイスターズ球場で「FA宣言をさせてもらおうかなと思っています」と話した。決断に至った背景には、住生活グループへの球団売却騒動が少なからず影響している。「この時期になって球団と交渉しても、納得できる話し合いができるのかは疑問。せっかく権利を取ったのだからもったいない」と話した。

 最優先としていた球団との残留交渉はシーズン終了直後にも行う予定だったが、第1回会談の日程すら決まっていない。残留の場合は「宣言せず」という選択肢もあったが、先に自らが動くことを決めた。

 残留か、移籍か。現時点では「両方ですね。移籍と決まっているわけではない。五分五分」と慎重に言葉を選んだ。「10年間ベイスターズにいたわけだし『FAを取りました。はい、サヨナラ』という気持ちではない」と横浜への愛着を口にする一方で「将来、自分が野球を教える立場になったとき、1つの球団しか知らなくていいのか…」とし、移籍に傾きつつある心境ものぞかせた。フジテレビアナウンサーの翼夫人からは「好きなようにしていい」と言われている。契約年数や年俸については「自分の中での最低限であれば問題ない」とこだわりはない。

 FA権行使となれば故郷・九州のソフトバンクなど数球団が獲得に動く可能性が大きい。もちろん横浜側もチームの主力の流出を全力で阻止する方針だ。内川は残留のポイントについて「親会社も変わって、組織がどう変わっていくのか。どうすれば強くなるというビジョンを持っているのか」とした。年内決着を目指して各球団との交渉を進めていく考えだ。

 [2010年10月26日8時36分

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