横浜が今オフの補強戦線で巻き返してきた。佐藤球団常務は11日、条件つきながら、FA権行使の手続きを行った日本ハム森本稀哲外野手(29)を獲得に乗り出すと表明。また、オリックスから交換トレードで、一輝内野手(29)の獲得も発表した。すでにFAで西武細川亨捕手(30)を獲得する方針を固めている。チーム内では内川聖一内野手(28)に続き、金城龍彦外野手(34)がFA宣言。行使に悩む村田修一内野手(29)ともども粘り強く残留交渉を続けていく意向だ。

 球団売却問題で揺れに揺れた横浜が、今オフの補強戦線で巻き返してきた。この日、佐藤常務は森本獲得に乗り出す方針を示した。「内川君のFAの行方は大きいが、基本的には欲しい戦力であることは事実」。交渉解禁の18日にも接触したい意向を示した。俊足巧打、堅実な守備、明るい性格にも期待を寄せる。日本ハムを上回る2年2億円程度(推定)の条件を提示するもようだ。

 一連の身売り騒動の余波もあり、横浜は国内FA権を取得した村田、内川の引き留め工作に出遅れた。ただ、ここにきて、西武からFA宣言した細川の獲得に乗り出すことを明らかにするなど、積極的な補強策を進めている。この日、桑原謙、野中との2対1の交換トレードで、オリックスから一輝の獲得も決まった。「センターライン強化。うちは左が多いし、右打者が欲しかった」(同常務)。今季二塁を守ったカスティーヨとは来季の契約を結ばない方針を固めており、勝負強い打撃が魅力の一輝に目をつけていた。

 チームのFA選手も必死に慰留中だ。すでにFA宣言をした内川に続き、生え抜きのベテラン金城がFA権の行使を決断、書類を提出した。「権利を持っており、新しい挑戦をしたい気持ちもあった。もちろん宣言しての残留という選択肢はある」という金城に対し、球団側も「長いおつきあいをしたいと伝えた」(同常務)という。参加中の秋季キャンプ終了を待って、今後は条件面の詳細を詰めていく。

 FA権の行使に揺れる主砲村田とは、この日、球団事務所で2回目のFA残留交渉を行った。「中途半端な考えで中途半端な決断をしたくない。週明けの15日に球団に(結論を)報告します」と、村田は週明けまで態度を保留した。ただ、決裂した雰囲気はなく、宣言せずに残留の可能性は消えていない。昨年の大量補強同様、横浜にようやく「攻めの形」がみえてきた。

 [2010年11月12日11時40分

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